表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方転犬録  作者: レティウス
なんか、巻き込まれた萃夢想
107/115

STAGE2

「うわぁーーんっ!!」


「どわぁっ、なんだなんだ!?」


 人がせっかく午後の陽ざしを浴びて気持ち良く寝入っていたのに、突如の鳴き声と、腹への衝撃により跳び起きてしまう。てか、腹いてぇ。


 何が起こったのか確認しようと、辺りをというよりも、腹を見てみると、何故か藍が、腹に抱きつきながら大泣きしていた。


「真理ぃ……」


「キモッ」


 猫なで声というか、弱々しいと言う感じの声を出しながら、俺を呼んでくる藍だったのだが、思わず普段のキャラとのギャップに本音が漏れてしまった。


「うわーーーんっ!ひーどーいーーっ!」


「ああ、うるせぇ」


 下手に耳がいいもんだから、藍の泣き叫ぶ声がキンキンと頭に響いてくる。てか、寝起きのせいもあるし、何より無理やり起こされたというのも含めて、自分でも分かるくらいに機嫌が悪くなってくる。


「紫しゃまがぁ……紫しゃまがぁ……」


「紫がどうしたってんだよ」


 えぐえぐと涙と鼻水を摺りつけてくる藍。てめぇ、後で覚えてやがれよ。


「私をいじめるんだー!」


「んなの、何百年も昔からだろうに」


 今さら言うのか。しかも、こんなガキのような泣き方しやがって。こいつは、俺の昼寝を邪魔して楽しいのか?


「しかも、橙をその魔の手に染めようとしているのだー」


「あぁ……そういや、百合っ気あったっけあいつ」


 何だかんだで女の子大好きだからなぁ、あいつ。それに、こいつを連れて行った時は、抱きついて寝ていたし。


「なーんーとーかーしーてーっ!」


「あーあー、うぜぇ」


 まるで駄々っ子のように泣きじゃくる藍。てか、完全にキャラがぶっ壊れてないか、こいつ?


「って、お前なんでそんなに顔が赤いんだ?」


「ふにゃ?」


 それじゃ、猫だろ。お前は狐でしょうが。


「にゃはははー、真理は何を言っているんだ」


「わずかな、酒の香り?お前、酒を飲んだのか?」


「ちょっとだけよ?なんちゃって、いやん」


「ダメだこりゃ」


 酒が全くダメな癖に何をとちくるって飲んでいるんだこいつは。性質の悪い酔っ払いになっているじゃないか。


 てか、こいつって酒を飲んだら即つぶれて寝てなかったか?


「真理、台所にこんなのが……言ったよね?昼から、酒はダメだって」


「待て待て待て!俺じゃねぇ!さっきまで昼寝していただろうが!」


「油断できない。真理は、一瞬でも時間があれば、それを有効活用する」


「有効活用の意味を分かっているか!?」


 なんて、信用がないんだ俺は!日ごろの行いをもう少しみなおそう。


「とにかく、それは俺じゃねぇ!」


「それを飲んだのは私だー」


「ちょっ、おまっ、貴様!」


「何をそんなに怒っているんだ?」


「人の酒を勝手に飲むな!一言断れや!」


「飲んだぞ!」


「事後承諾じゃねぇか!」


 てか、こいつが自分から進んで酒を飲んだのが信じられん。いくら萃香が人を萃めて宴会を開かせているからって、人の気持ちは変えられんはずだ。


 そうすると、来る前から酔っ払ってた?


「ふぇ……真理は私をいじめるのか」


「真理……」


「あとり、なんでそんな蔑んだ目で見てくるんだ?」


 いやまぁ、弄られる奴は徹底的に弄って遊ぶ俺だけどさぁ。


「聞いたわよ!あんた、私の藍をいじめたそうじゃないの!」


「紫しゃま~」


 隙間からぬるっと現れた紫がなにやらふざけたことを抜かしておる。藍も藍で、現れた紫に抱きついた。


「おーよしよし、可哀そうに。今、私が仇をうってあげるからね」


「えへへ~はい~」


 完全にキャラがぶっ壊れているぞ藍。そして、よくよく見れば、紫も顔が赤かった。こいつら揃って酔っ払っているのかよ。


 酒は飲んでも飲まれるな。他人に迷惑をかけるんじゃない!」


「真理も人の事言えない」


「えっ!?俺って迷惑かけてるの?」


「飲みすぎ」


「それは、直せん。すまん、許せ」


 あとりからの突っ込みに謝りつつ、紫と藍を揃って庭へとぶん投げる。流石に、家の中で暴れられたらたまったもんじゃない。


「長年の恨み、晴らさないでかー」


「でかー」


「てか、二体一かよ」


 どうやら、藍もやる気のようだ。ったく。


「7尾解放」


 流石にこいつら相手に、様子見の5尾じゃ分が悪いから、しょっぱなから7尾で対応をさせてもらう。


「紫奥義「弾幕結界」」


「おい、いきなり奥義ってありか?」


「幻神「飯綱権現降臨」」


「お前もか」


 二人揃ってしょっぱなからクライマックスになってやがる。流石に、これを全て避けきるには、7尾のままじゃ届かないな。


「8尾解放。術符「弾幕世界」」


 スペルカードの宣言と共に、俺の背後には、紫や藍が作り出した弾幕の倍はある量の弾幕が作り出される。


「行けっ!」


 腕を前に出すと同時に、後ろで控えていた弾幕が相手を滅さんとかなりの速度で飛んでいく。


 途中で、紫たちの弾幕とぶつかっては破裂して、周囲に被害が出そうだが、俺が結界を張っているので影響はない。


 てか、張ってなければ周囲じゃなくうちが壊れるわ。あと、あとりが暢気に茶を啜りながら観戦も出来るわけないしな。


「流石に強いわね!」


「でも私たちは負けない!」


「張り切るのはいいが、まだまだ残っているから頑張れや」


「「きゃーーっ!?」」


 色々とイラついていたからかなりの量の妖力を込めて作ったから、当分の間はエンドレスで生成されては襲いかかるぞ。


 この術式の最大の特徴は、空中に霧散してしまった妖力を収束して再び、弾幕を作りだすと言う、自分で作っといて何だが、中々にえぐい性能を有している。


 椛が太郎と花を経由しなければ~と考えているようだが、なんてことはない。こうやって、リサイクルのようにしてしまえば楽ではないか。


「氷符「氷柱鉄砲乱れ撃ち」」


 ついでとばかりに、もう一枚のスペルカードを取り出して、氷柱を作り、それを同じように紫たちめがけて撃ち始める。


 これも、周辺の水気を集めて作り出す技で、術式を理解出来れば中々に協力な技だ……あ、これって五行を納めてないとできないっけ?椛に教えてやろうと思っていたけど、当分先だなぁ。


 結局、紫と藍は頑張って迎撃していたけど、処理しきれなくなって落ちて行った。


「お疲れ」


「本当にな。こりゃ、ちょっと萃香を問い詰めないといけないか?」


 これといって、害がないから放って置いたけど、流石にここまで面倒になってくると放っておくことは出来んからなぁ。


 被害が無ければ笑えるけど、被害があるんじゃ、笑えない。待っていろよ、萃香。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ