エピローグ
「なんで、毎回うちでやるのよ!」
「かてーこと言うなよ、霊夢」
「そうですよ」
博麗神社、そこでは今回の異変の関係者から、無関係者までがそろって宴会をしていた。
異変を解決したその瞬間から、幻想郷には春が訪れ、桜の木が満開となっている。
そして、この神社の主?である霊夢は、前回に引き続き、ここで宴会が行われていることに腹を立てていた。
最初は白玉楼でやる予定だったのだが、あそこにある桜の木は西行妖だけだったために、花見には適してなかったのだ。
そこで、白羽の矢がたったのが博麗神社であった。
周りが森に囲まれている影響もあってか、かなり見ごたえのある桜がならんでいる。
「そんなことを言いながら、かなり食べて飲んでいるじゃないですか」
料理を運びながら文句を言う妖夢。彼女は、家事が出来るということで、今回迷惑をかけた主に変わり、手伝っているのだった。
「そうしなきゃ、やってらんないわよ!」
やけ食い、やけ酒に近い状態でかなりの量を消費する霊夢。ぶっちゃけ、ここまで潤沢に食材がある状態などめったにないので、食い溜めするつもりである。
「それにしても、お前、かなり料理が上手いな。それに、作るのがやけに早いし」
「そうですね、うちで働きません?」
妖夢の料理を食べて、舌鼓をうつ魔理沙と、妖夢の手際を見て、仕事に誘う咲夜。
それに対し、妖夢は苦笑いする。
「褒めてもらって嬉しいですが、私がいなくなったら幽々子様が餓死するので」
「あー、あの量を食べるならそうだよなー」
「エンゲル係数が凄まじいわね」
そう言って、とある一角を見詰める一同。
そこには、『私は悪いことをしました』とプラカードを首から下げられている幽々子が縄に縛られて正座させられている。
ちなみに、隣には紫が『私はダメな子です』というプラカードを下げられて同じように正座させられている。ちなみに、顔の落書きはそのままである。
更に言えば、幽々子の前には手つかずの料理と酒がこれでもかというくらいの量が置かれていた。
「ったく、今はもう初夏に差しかかるところじゃねえか。桜もあと2.3日したら、散るじゃないか」
「そうですねぇ、毎年楽しみにしていた花見を台無しにされたこの気持ち、わかります?」
「分からんやろうなぁ。わかっとったら、こんなアホなことをおこさへんし」
「どうしてくれようか?」
四人に睨まれてガタガタと振るえる二人。ただ、幽々子はちょっとでも、余裕を見つけると料理に目が行っては涎を垂らしているが。
「普段あまり感情を出さないあとりがしょぼくれたんだぞ?あいつが、塞ぎこんだらどうするんだ。誰が飯を作ると思ってんだ?」
「私が作りましょうか?」
「いいや、うちが」
「ふむ、たまには私の料理を御馳走してやろう」
「そうじゃねえだろうが」
ぐちぐちと続く真理達の説教。二人はただ言われるまま、逆らわない。逆らった瞬間、実力行使に来られるのが目に見えているために、動けないのだ。
椛はどうしているかといえば、今回の功労者である霊夢たちと一緒にいるのではなく、真理の隣に座っていた。
真理の隣に座り、真理に撫でられていたのである。
現在は、バカ共に説教しなければいけないために、片手間でしか椛を褒めれないが、これが終わればべた褒めが始まる。
椛はそんな真理に静かに黙って撫でられ続ける。
顔はそのことを別にどうとも思ってないと思わせるような風貌だが、残念ながら尻尾は左右にフリフリと振られており、嬉しがっているのがはた目にはばればれである。
「つーわけで、今日はそのままにしてろ。そうしたら許してやる」
「そ、そんな!」
「何かいいました?」
「何も言ってないです。ごめんなさい」
一通り説教がし終わったのか、真理が二人に告げた最後の言葉に幽々子が反論をしようとしたのだが、睨まれてすぐに撤回した。ぶっちゃけ、怖すぎる。
特に、玲央が洒落になってなかった。笑顔でにこにこと見つめてくるのだが、手に持つ何かが握ったり何かをするたびに壊れるのだ。それを、お前にやってやろうか?と笑顔で語りかけてくるのだから、されている方としては、たまったものではなかった。
「それにしても、椛は成長したな。寝起きとは言え、紫を倒すとは」
「そうですね。小さかった頃から知ってますが、一端の強さを持って、嬉しいです」
「ぶっちゃけ、白狼天狗っちゅー枠は完全に越えたなぁ。うちの大天狗たちでも勝てるか怪しいで?」
「戦い方を教え出してから、物覚えもそうだったが、その意欲は凄まじかったからな」
思い思いに褒めちぎる四人をよそに、椛はしれっとした顔をしている。ただし、尻尾はやっぱり揺れているが。
「そろそろ次のレベルに行っていいだろうな」
「え?」
真理が言った一言により、今まで揺れていた尻尾がピタリと止まる。それどころか、何かに怯えたように、尻尾が縮こまる。
「そうですね」
「せやねぇ。椛ちゃんにはまだまだ教えたいことも多いし」
「さて、何から教えるか」
それに同意するように玲央たちも頷く。
それを見た椛が、白狼からチワワに様変わりする。
「い、いえいえ、ま、まだまだ、ですよ?」
同様のあまり、口調が変になってしまったが、それを気にするような面々ではない。それを一番分かっているのも椛であった。
「順番はどうする?」
「前は……私でしたっけ?」
「そうやね。ほんじゃ、次はうちが最初でええかな?」
「待て。私だって……いや、私は最後でいい」
何やら楽しそうに相談を始める真理達。その様子をどこか遠い目で諦めた表情で見つめる椛。
「珍しいな。どうした?」
「椛の前に……しめなおさんといかん奴らがいたのを思い出した」
清明の言葉が気になった真理が尋ねると、清明がギロリと霊夢たちをロックオンした。
「今回の異変の原因はこ奴らだが、遅い。あまりに遅い。更に言えば、紫を倒した椛を見て、危機感を持ってない奴らには今一度、地獄を押してやらんといかんようだ」
「ほどほどにな」
「「!?」」
物騒なことを言う清明に軽くだが、注意する真理だった。ちなみに、睨まれた霊夢と魔理沙は妙な悪寒に襲われて身震いしていた。
こうして、宴会は終始主役が誰か割らない感じで進んでいったのであった。




