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(仮タイトル)すらいむ?に転生  作者:
勇者?召喚
20/26

3人の仲間と勇者様(♀)

 かなり遅れました。

 年末年始はかなり忙しいですね。

 

 話がかなり粗いのは柚木と再会させようと焦った結果です。

 恐らく今後も粗くなる可能性が高いです。

 最近フィーツ村の近くの森に異変が起こっているらしい。

 王様から聖剣を手に入れてくるついでに異変の調査も出来る限りして欲しいと頼まれた。

 というわけで今まさに魔王討伐パーティと馬車に乗ってフィーツ村に向かっている所だ。



「勇者様は馬車に乗るのは初めてでしょうか?」


 この人は侍女さんだ。

 本名はマリア・ジ・フォン・ヨーゼハインといって没落貴族というやつらしい。

 年齢はよくわからない。

 侍女さんが魔王討伐の仲間になるなんて思ってもみなかったので吃驚だ。


「っはん。勇者様とあろうお方が……なっさけない」


 この人は戦士のタニアさん。16歳。

 孤児だから姓がないそうだ。

 男嫌いだからか僕を敵視してくる。


「あの、その、いつか慣れますよ……?」


 この子はラザエル・マイナ。10歳。

 神官の中から選ばれたとても優秀な子で回復魔法や解呪魔法の使い手らしい。

 でもこんな子供が戦場に出て平気なのか心配になる。


「うん、大丈夫だよ。でもまだ慣れないかな。お尻が痛いや」

「馬に乗ったことのない人は皆そうなります」


 馬車の中はとても退屈になる。

 なので侍女さん……マリアさん、ラザエルちゃんとお話をして退屈を紛らわせる。

 タニアさんは僕が話しかけると知らん顔をするので僕もむきになって無視している。

 


 二人と話をしているとなにか嫌な予感がふと頭に過ぎった。

 少しすると外を見ていたタニアさんが異変を察知したようだ。


「お前ら、気ぃつけろ!ナイトオークだ!」

「!!」

「そんな……!なんでこんな所にそんな上位種が!?」

「ナイトオーク?」


 なんだろ?

 普通のオークとは違うのかな?


「ナイトオークとはC級ハンターが束になってようやく倒せる魔物です。今の私たちでは厳しいでしょう」

「とりあえず奇襲かけて一気に殺す。駄目だったらそのまま逃げる!それでいいな?」

「私は構いません。勇者様は?」

「ん~そんなに強そうに見えないけどな……。まあ、それでいいんじゃない?」

「わ、わたしは……」

「ラザエルちゃんは下がってみててね」

「ご、ごめんなさい……」


 ラザエルちゃんは完全に補助役なので前衛にはだせない。

 回復魔法のほかにも光属性の魔法に特化した攻撃や強化魔法を使えるので役にたたない訳ではないけどこういった奇襲作戦では前もって補助魔法をかけた後は手持ち無沙汰になってしまう。


 しょんぼりしながら強化魔法を皆にかけていくラザエルちゃん。

 体の奥から力の湧いてくるような感覚がする。

 強化魔法の効力はおおよそ1時間。

 それまでに勝負を決める。

 

「いいか、不意打ちするとき叫ぶ馬鹿がいるがそれは間違いだ」

「まあ、当然だよね」

「普通はそうですね」

「ああ、だがあいつら魔物は敵を感知する時は魔力の気配を察知している。つまり叫んでもばれない時はばれないんだよぉ!!!」

「えぇぇええぇぇええええぇ!?」


 普通に叫んで突撃するタニアさん。

 剣を上段に構え斬撃を浴びせる。

 

「ブゴッ!?」


 それに続いてマリアさん。

 

「燃えろ≪ファイアボール≫」

「ブギャ!!?」


 豚の顔をしたナイトオークの体が燃え上がる。

 呼吸しようとすると火が体の内側をも焼くので苦しそうだ。

 可哀想だけど魔物退治しなきゃ


「光よ、集え。≪光弾の射手≫」

「ブグァアアアア!!」


 僕の手のひらから放たれた光に貫かれるナイトオーク。

 だけどおかしい。

 思っていたよりも傷が浅そうだ。


「っち、決めきれないか」

「レベル差というものはかなり大きなアドバンテージですからね」

「ナイトオークって何レベルなの?」

「弱いやつで20~30のCってとこか」

「Cって何!?」

「んな事もしらねえのかよ」


 Cというのは魔物の強さを指しているらしい。

 例えばゴブリンのレベルが40でもナイトオークのレベル1に勝てないように格の違いのことだ。

 Sとつけられているのはやはり最強種で、最低のゴブリンはFとなっている。

 格の強さはギルドが設定しているらしく、基準は知られてないそうだ。

 

「きます!お気をつけて!」

「わかってんよ、んなこたぁよ!」

「援護します。走れ、雷光≪サンダー≫」


 タニアさんとマリアさんが連携してナイトオークに攻撃する。

 あまり効果がなさそうだけどすこしづつ効いているようだ。


「ブグルァア!!」

「っ!!っく、ぁあ!」

「タニアさん!」


 一気に畳み掛けようとした時、ナイトオークから突然反撃をもらいタニアさんが吹き飛ばされる。

 ナイトオークはそのままタニアさんに追い討ちをかけようとスキルを発動させる。


「危ないっ!」

「うぐっ!?」


 僕は慌ててタニアさんを突き飛ばして立ちはだかる。

 ナイトオークは気にせずそのまま槍を振るう。


「ブギィイイアアアア!!!」


 僕は槍を剣で逸らしてかわし、そのまま斬りつける。

 ここで異変に気付いた。

 ナイトオークの動きが早いままなのだ。

 クルエルさんと戦ったときはゆっくりに見えたのに今は普通の速さで見える。

 しかもさっき斬ったばかりのところの傷がかなり浅いのだ。


「全然効いてないよ!どうするの?」

「そういう時は魔法でも撃ってろ!オーク種は対魔力がそんなに強くないから少しは効き目があるはずだ!」

「いえ、残念ながら魔法の効果が半減しています。おそらくあの鎧のせいでしょう」

「っち、少しでも傷をつけろ!そこを焼けばダメージを与えられる筈だ!」

「うん、わかった!」


 僕たちは何度も何度もナイトオークに攻撃をする。

 そしてナイトオークの動きが鈍った時、油断してしまった。


「ブギィ!!ブゴッ!ブゴッ!」


 突然見境なく暴れだし、ラザエルちゃんのいる方へと走り出した。

 

「え?」

「ラザエルちゃん、逃げて!!」

「くそっ、間に合え!!」


 そしてナイトオークはラザエルちゃんに向かって槍を振るう。

 

「きゃ!」


 間一髪、槍を回避したラザエルちゃん。

 ラザエルちゃんは無事だったけれど馬車は拉げてしまって使い物にならなくなってしまった。

 

「大丈夫!?」

「は、はい。なんとか……」

「ちっ、今は逃げるっきゃねえか」

「そうですね。あとでギルドに報告をしておけばいいでしょう」


 逃げる?

 僕達がこんな雑魚相手に梃子摺ってるんじゃあ魔王討伐なんて無理じゃないか。

 逃げる訳にはいかない。

 それに近くの村が襲われるかもしれないのだから尚更だ。

 

「僕は戦う、最後まで!諦める訳には……!」

「退くべきところでは退くんだ!でないと無駄に命を落とすぞ……」

「でも!」

「でもじゃない!!」

「!!」

「いいか?よく聞け。不本意だがお前が俺たちのリーダーなんだ。そんなやつが冷静に状況を分析しておかないと誰かが死んじまうんだ。お前の判断ミスで仲間が命を落とすんだ。私はそんなのはごめんだね……!」


 僕のせいで僕の仲間が死んじゃうかもしれない。

 タニアさんに怒られて冷静になっていく。

 知らず知らずのうちに頭に血が上っていたようだ。

 

「……うん。わかった。今は退こう。でも近くの村が襲われるかもしれないよ?」

「……諦めろ。今は……な」

「っ!」

「悔しいか?」

「……うん」

「だけどな、弱いのがわりぃんだ。私らも、お前もな」


 強くなりたい。

 僕は今のままでもタニアさんより強いと思うのだけど技術面においては完全に劣っていた。

 もっと強くなりたい。


「ブゴルァアア!!!」

「おい、さっさと逃げんぞ!!」

「急ぎましょう。幸いナイトオークは足が遅い。逃げ切れる筈です」

「わ、わたし走るの苦手です……」

「……うん。それじゃあ、一時撤退!!」


 僕の掛け声と共に一目散に逃げる。

 僕達の戦闘の痕跡はしっかりと残されている。

 クルエルさんから餞別としてもらった鎧が馬車に置きっぱなしだったことが気になったが取りに戻る訳にもいかない。  



 森の奥の方まで行くと流石にもう追ってこなくなったようだ。

 そして近くに偶然あった泉付近で休憩をとる。

 そのついでに今からどうするか話し合っている。

 

「フィーツ村に急ごう」

「まぁ、それしかないよな。お前の力を強くしないといけないしな」

「そうですね。ナイトオークのことをギルドの方に連絡しておかないといけませんし」

「い、色々やることがあるんです」

「よし、それじゃあフィーツ村目指して急ごう!」

「ああ、早い方がいいしな」


 






 



 優達を見失ったナイトオークは数日後、強敵と出会っていた。


「ブゴァ!ブグゥウウ……」

「………………」


 何度殺しても現れるアメーバのような何かが突然襲い掛かってきたのだ。

 相手はかなり弱いので一撃で屠ることが出来ているが如何せん数が多い。少しずつだがダメージを蓄積されている。


 ナイトオークはほぼ一日中その謎の生物と戦い続けていた。

 謎の生物が分裂をやめ、その殆どを刈りつくしたとき、ナイトオークの体には疲労が蓄積しており、ふらふらと少し前に叩き潰した馬車のほうに歩いていった。

 そこは人が通る道。人を喰らって体力を回復させようとしたのだろう。

 男ならば喰らい、女ならば性魔術による精気を奪い取ることで力もつくので効率的にこうした方がいいと思ったのだ。

 そしてナイトオークは人間の姿を認識した。

 すぐさま魔力を奪うために襲い掛かるナイトオーク。

 微かにした嫌な予感を無視して……

 

 なぜあそこに馬車があったのか?なぜナイトオークが弱っていたのか?

 そういう説明をしたかった。

 ちなみに暴走した時の分体の数を把握し切れなかった柚木は何体か管理外にある固体がいます。今回のはそのうちの数十体。


 次回も遅くなります。

 1月以内には投稿したいですがどうなるかはわかりません。

 連載はしますが……

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