特別ハンター
柚木編にでたハンターについての説明回
次の日、訓練場に来なくてもいいといわれた僕はこの世界について調べていた。
この世界の名前はダイナ=マグナ。
世界は5つの大規模な大陸で出来ているらしく、大陸ごとに国が一つあるらしい。
北のフォースデッド大陸
最果ての国
南のビガレント大陸
魔法の国
西のケヴィワエール大陸
自然の国
東のメガ大陸
武力の国
中央のフォンジング大陸
中央の国
フォンジングは魔王に乗っ取られてしまっていて北と南、東と西の交流が難しくなってしまっている。
大陸の名前が国の名前になっていて、フォースデッドが最果ての理由はどの大陸からも遠い場所にあるからだ。
魔法の国は魔法使い達の研究が盛んな国で、魔法具の開発が進んでいるらしい。
魔法具は僕の世界で言う電気やガスのようなもので、あるとかなり便利らしい。
ビガレントはフォースデッドと一番遠いところにあるのでフォースデッドに魔法具はあまりなく、あってもこの城に2,3個使われているだけだ。
自然の国は森に囲まれている国で主に精霊や亜人が住むらしい。
戦争をしている中央や東と南とは交流を持たないが、戦争をしないこの国とは貿易を行ったりする。
戦争をしない国でクルエルさんが一番強いらしいが自然の国の兵士相手だと200がかりで負けるらしい。
つまりクルエルさんは強くなかった。
というよりこの国の人たちは皆そこまで強くないようだ。
武力の国は戦いには何でも使う国だけど人質をとるような卑怯なことはせず、正々堂々ズルするらしい。
毎年武闘大会を開いて最強を決めていて、優勝者には賞金を出しているそうだ。
中央の国は中央にあるため、いろんな人たちが立ち寄る国だ。
中立を保ってはいるが、昔は戦争をしていたので自然の国からは人はあまり来ない。
魔王に乗っ取られてからは流通が滞ってしまい貿易が難しくなっているのでこの国は南の国とまったく交流が出来なくなっているらしい。
この世界には魔物と呼ばれる化物がいて、一番弱いゴブリンは1匹で人間の子供を殺せる程度の力しか持たないが運が悪ければ大人でも死ぬことはあるらしい。
逆に一番強い魔物は最強種と呼ばれる5体の災害級の魔物で、好戦的ではないものが4体、残りの1体は人をあまり襲わないもののたまには襲う。
最強種の主食は他の魔物や魔力で、過去に魔力を供給する代わりに勇者と共に魔王と戦った魔物もいると聞いた。
この国の資料にはこのくらいの情報しかなかった。
柚木がこの国にいなければ他の国にいる筈。
他の国では今は魔王討伐の為に戦争はしてないけれど危険が多いらしいから早く見つけないと……。
資料室で調べ物が終わった頃、侍女の人が来た。
「勇者様。王都に出てみてはどうですか?」
王都とは国にある都市の名前で、この国の城下町の名前だ。
治安はそこそこいいらしいけれど、それでも罪人はいるらしい。
罪人と戦うためにクルエルさんたち兵士が訓練を欠かさずしているそうだ。
「城下町にですか?」
「はい。勇者様のことは既に民達は知っています。御顔を拝見したいと考えるものは少なくない筈で御座いましょう」
「でも僕、お金持ってないんですよね……」
「そう仰られると思いましてクルエル様から3000円ほど預かっております」
「円……ですか」
何でもこの世界の通貨は初代勇者が発案し、2代目勇者が普及させたものらしく、3000円は一般人が働いて1ヶ月で稼げる値段だそうだ。
ちなみにクルエルさんは1月1万、侍女さんは1月7000円である。
物価が地球よりも安いなぁとか思った。
紙幣を造る技術はよくわかってないみたいだけど造れるからいいだろうとのこと。
紙幣の偽造は解析できるものでないと無理らしい。
クルエルさんから頂いたお金を持って侍女さんと一緒に町に出るといろんな人に顔を見られた。
「あれが……」
「スッゲー、勇者様だー」
「キャー!こっち向いてー!」
何で僕が勇者だってことがわかるんだろう。
疑問に思っていると僕が着ている服が王様に認められた人で無いと着る事の出来ない服だからだと教えてくれた。
暫く歩いていると侍女さんにギルドに入るように言われた。
ギルドに所属している人はハンターと呼ばれ、ハンターは入国の時に金を取られないとかいろんな特権があって便利だから入っておけとのこと。
どうせこの国を出る時に入らないといけないらしいので入っておく。
ギルド内は酒場のように沢山のハンターが飲み食いしに来ている。
僕と侍女さんが入ったとき、睨まれた気がするけど、気にせず受付の人に声をかけた。
「すいません。ハンターになりたいんですけど……」
「新規加入のか……た……。すいませんが少々お待ちください」
こちらを見るなり奥のほうに引っ込んでいった。
しばらくすると奥から受付の人と一緒に若い男の人が来た。
「初めまして勇者殿。わたくしはギルドフォースデッド支部長のタオといいます。よろしく」
「あ、はい。嵩原です。よろしくお願いします」
「嵩原殿?不思議な名前ですね」
「あ、この国の人たちって姓名逆なのかな?」
「?つまりユウ・タカハラということですか?」
「はい。たぶんそうです」
「そうですか、覚えておきましょう。それでは本題に入ります。……王から勅命が来ております。貴方を特別ハンターとして認めましょう」
「特別ハンターですか?」
「はい、特別ハンターの権限はクエストのノルマを達成しなくともハンターの特権を使えます。更にはA級ハンターと同じ権利を得ることができます」
「A級とか言われてもわからないんですけど……」
「そうでしたね。それでは説明をしましょう」
ハンターについての説明はこんな感じだった。
ハンターは1年に規定の難易度のクエストを達成させることで所属し続けられる。
達成したかどうかはギルドの発行するギルドカードに表示され、証明書の代わりにもなる。
紛失した場合は再発行に5万円とられ、G級ハンターからのやり直しになってしまうので大抵の人が紛失防止魔法をかけてもらいに魔法の国に一度立ち寄るらしい。
一定の難易度のクエストを達成させるとランクが上がり、色々な権利が増える。
ランクはS級、A級、B級、C級、D級、E級、F級、G級があり、S級ハンターはまだ現れていないので事実上最強のハンターはA級だということ。
G級は入国が無料になり
F級はギルドからクエストを達成した際に酒を5杯まで貰える。
E級からは宿代が3割引で、
D級はどこかの国の市民権が貰え、
C級からは特別クエストを受けることが出来る。
B級は宿代が無料になり、どこの店でも一食なら無料にしてもらえる。
A級はどこかの国の永住権が貰え、家を建てることが許可される。
S級は、今まで現れた過去がないため解らないが、一応国王と同等の権力を持つことが出来るらしい。
特別ハンターは例外中の例外で、無名の人物がA級と同等の実力がある場合、ギルド長の判断によって決められ、そのためのクエストを達成させなければならない。
ちなみに無料で使える、もらえるもの、割引等は、その実はギルドが負担しているとのこと。
ハンターたちはそれぞれ、パーティを組むことができ、協力することで魔物を倒すことが出来る。
一度に組めるパーティは5人まで。
パーティが変わることは基本ないらしい。
というのも、コミュニティというグループに所属した人がコミュニティ内の人とパーティを組むからだ。
コミュニティにもハンターのようにクラスがあって、ランクが高いと、コミュニティの建てることが出来る拠点の維持費を払わなくてもいいようになるとのこと。
「説明は以上です。貴方に受けてもらうクエストは、[魔王討伐]です。難易度はA級、もしくはS級です。ああ、言い忘れていましたが特別ハンターの方はコミュニティに参入不可となります。何か質問は御座いますか?」
「あの、仲間が出来るって聞いたんですけど……」
「その方達はあなたの臨時パーティとして扱われ、貴方と同じ権利を一時的に得ることになります。仲間の方が出来た際にはこちらに一度声をかけていただければギルドカードを渡します」
「解りました。もういいですよ」
「それでは勇者殿。勇者殿のご健勝を祈っておきましょう」
色々ややこしいことばかりだった。
柚木君はたぶん一回じゃ理解できないんじゃないかな?
それに弱いからギルドに入っても何も出来ないと思うし。
「こちらはギルドカードです。登録をするので左手を翳してください」
言われた通りに翳すとギルドカードが微弱に発光した。
「登録は完了しました。情報の表示は念じれば表示されます。カードに見られたくない情報があればシークレット設定をなさってください、文字の上をなぞれば出来ますので。シークレット設定の解除はもう一度なぞれば表示されます。それでは勇者様、頑張ってください。」
ギルドカードの情報を確認するために念じてみると……
名前:ユウ・タカハラ
種族:人間
称号:勇者
性別:※シークレット設定中
年齢:18歳
ランク:特別ハンター
Level:18
特殊技能:『勇者』 『※シークレット設定中』 『武術の心得』 『初級魔法』
シークレット設定されていたのは性別:女と『恋する乙女』だった。
恥ずかしい情報まで表示されるみたいだ。見られたら一発で解るので設定されててよかった。
ギルドの人でもシークレット設定の情報は見れないといってたのでばれてないだろう。
ギルドを出ると侍女さんが待っていてくれていた。
「終わりましたか?」
「はい。ばっちりです」
「そうですか。そろそろ日が落ちる時間なので戻りましょう」
確かに夕暮れ時だったし、特にすることもないので僕は城に戻ることにした。
実は侍女はかなりの実力者っていう設定はかなり使い古されてますが町に身辺警護で着いていくならそれなりに実力があるはずなのでしょう。
ギルドへの請求はギルドカードを専用の道具に通せば自動でしてくれる。
考えたのは四代目勇者だが実際に作ったのは魔法の国のモグリ魔道士




