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(仮タイトル)すらいむ?に転生  作者:
すらいむ?転生
13/26

この王都で生きる

 全ての登場人物の名前に意味は無く、適当に考えてつけられています。

 どうも、王都の小さな鍛冶屋、バレンタイン工房で働く事になったものです。

 

 現在、リリーが家に泊めてくれると言うのでありがたく泊まりに行っています。


「お母さんただいま」

「あら、お帰りなさい。……その方は?」

「私が雇ったの。ほら、鉄鉱石とかって結構重いから男手が欲しかったし」

「そうなの、でもどうして家に連れてきたの?」

「え~っと、その、今日この町に着たばっかりらしくって、宿取ってないそうだから……」

「あらあら、それは大変ね。しょうがないわね、じゃあ、今日だけよ?」

「ありがと。じゃあシノブ、あなたはお父さんの部屋で寝てね?」


 今日一日だけだがここで寝る事を許してもらえた。

 当然だ。

 ここには女性しかいないのだから、男性を泊めるなんて怖くてあまり出来ない。

 一日泊めてもらえるだけでもありがたい。


「それじゃあシノブ、夕飯にしましょうか」

「ああ」


 いままで生きたまま食べ、丸々食いつくしていたからこの世界でまともな料理を食べるのは初めてだ。

 

 期待が胸いっぱいに広がったわたしの前に出された料理は形容し難いグロテスクな一品だった。

 食えないだろ、これ。

 


「どうしたのシノブ?食べないの?」

「い、いや食べる」


 ……唾液を酸にして溶かしながら食えば大丈夫の筈。

 …南無三!


「………意外と美味しい」

「ふふん、当然よ。私が作ったんだから。それより、意外とってどういうことよ」


 そう、美味しかった

 美味しいのだが、見た目が食欲を衰えさせてしまうのだ。


「い、いや別に……ただ見た目が…」

「う…それは言わないでくれる……?」


 気にしていたようだ。

 一体何を入れればこんな見た目になるのだろうか。


 それにしても料理を食べ終わってもあの頭に響いてくる声が聞こえない。

 料理では能力を得られないということか?

 強さを求めていたなら娯楽の少ない生き方になっただろうな。

 食は娯楽でもあるからな。




「シノブ、明日は早いわよ。さあ、早く寝ましょう?」

「ああ、そうするよ。いつごろには起きてたらいいんだ?」

「そうね。日が昇る少し前かしら」

「ああ、わかった。じゃあ、おやすみ」

「ええ、おやすみなさい」


 明日に備えてリリーは早く寝るようだ。

 私に睡眠は精神的な疲労がない限り必要がないので夜更かししても何の問題もない。

 が、念には念を入れ、早く寝て早く起きよう。


 しかし私にはまだやりたい事があったのだ。

 それを夜の間にやっておこう。

 

 私の分体は私の半分の力を持ち、私の体に戻ってきた時、その分体の記憶が私に引き継がれるという性質を持っていた。

 昔読んでいた漫画のような能力だが、それよりも凶悪で、弱くて、強い能力だ。

 最初は分体は弱いが、私と同じように成長して強くなる。

 途中で誰かに倒されれば記憶や経験はもらえないが、私の元へ帰還できた場合は、私はその分体の経験をもらえることになる。

 

 このことに気付いた私は早速分体を2体ほど生み出し、擬人させた。

 1人は遠藤海斗(えんどうかいと)、もう一人は小林宙(こばやしそら)

 そして、自動操縦を一旦切り、遠隔操作で擬人させた聖剣の守りをしている分体、畑田衛(はただまもる)

 この3人は特別製で有る程度自分の考えがあり、目的を達成するためにどうすればいいか考えて行動する。

 もちろん、私には刃を向けることは出来ない。

 と、いうよりも同じ存在であるため、自殺をしようと思うほど馬鹿ではない。



 ちなみにこの三人の姿と名前は高校時代の友達のもので、容姿を思い出しやすかったからだ。

 親友になるのだけは私がなんとなく許せないからそれを除いてだが。


 3人にはそれぞれ役目を与えた。

 遠藤にはギルドに入ってハンターを、小林には世界中を廻って情報収集、畑田は現状維持。

 そして私はこの王都で鍛冶屋の手伝いだ。

 私が一番簡単な仕事だと思うがまあいいだろう。


 小林と遠藤は暫く一緒に行動を共にするそうだ。さっそく家から抜け出して同じ方向へと走っていった。

 畑田は……毎日雑魚をくらっているらしい。もうそろそろ私を超えてしまっていてもおかしくはないだろう。

 これに勇者が勝てるか心配だったが。

  

 いろいろなことを分体に任せて、私はほのぼのとした生活を送ろう。

 私の『擬人』は滅多なことでは解けない。

 心配することはほぼないということだ。


 分体を作って命令を与えるだけでやりたいことは終わってしまったので、今度こそ寝ることにした。




「おはようシノブ、いい天気だね」

「おはようリリー、いい天気といいたかったけど暗くてよくわからない」


 今は大体3時頃。

 空は真っ黒。星が瞬いているような時間。 

 そんな時間にいい天気といわれても返事に困ってしまう。


「ちゃんと乗ってくれないと困るわ、ほら、準備して。お仕事お仕事」


 朝から元気なリリー。

 私には基本睡眠が必要ないので起きられたが、普通の人なのになんでこんなに早起きできるのだろう。

 前世の私は未だに布団に包まっているような時間なのに……

 といっても職が違うから当然なのかな?

 でも、こんな朝から始めて、18時頃終わるなんて労働法違反しまくってるよ。


「何ボーっとしてるの、さっさとしなさい」

「ああ、今行く」

 この体に睡眠が必要なくてよかった。

 あれば眠くて仕事どころではなかった。

 

 何はともあれ今は仕事に専念しよう。

 

 魔王だの勇者だのは全部終わった頃に私の分体が教えてくれる筈だ。

 倒されたら私にはわかるからな。



 この新しい生活が何年続くかわからないが、私の正体がばれるまで……その時まで私は人間と一緒にいたい。


 さあ、仕事を始めよう。

 この世界で……私は生きる…!


「リリー、私は今日、何をすればいい?」

「今日はね……」

~私の人生?はまだまだ続く~

 ご愛読ありがとうございました。

 寝先生の次回作にご期待ください!


                      打ち切りEND




 


 嘘だけど。


 次回からは親友を主人公に据えて話を進めていきます。

 そうしないと~1年後~といった表現を使わざるを得ない状況に陥ってその間に起こる魔王と勇者の戦いの描写が無いため意味不明になるからです。

 別に遠藤視点でも、小林視点でも良かったんだけどね。

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