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偽物の偽物になった私:両親は私を捨て、影武者を本当の娘にした

作者: 秋月心文
掲載日:2026/05/15

私は「偽物にせもの」の「偽物にせもの」だ。



王や大名にそっくりな人物を、暗殺対策や混乱防止のために、

本人の代わりとして別の者が、その代わりを演じる「影武者かげむしゃ」というのがある。


いわゆる「偽物にせもの」だ。


私も、高貴な血筋で生まれてしまった為に、私にも「影武者かげむしゃ」がいた。

市位から、無理やり、連れて来られた、その娘は、私、ソックリだった。



この世界は、ある意味、実力主義だった。



魔力というものが存在している世界。

感情が揺さぶられると、そこに魔力が乗って、大きな力を発揮する。


しかし、未だ、魔力を制御するという方法が、見いだされていなかった。


故に、魔力が高い人間の感情を刺激したなら、

殺されても、仕方がないという流れになっていた。

防ぐ方法などなかったからだ。

だから、魔力が高い人間による、悪事や殺人は、不問とされた。



そこで、この世界では、処世術として、

魔力が高い人間を、高貴な人間として崇めるようになった。


それゆえに、魔力を持つ者ほど、神に認められた「高貴な者」とされた。

(正しくは、逆らってはいけない者、とされた)


この魔力は、同じ血を引いていれば、その力が、色濃く出る。

……という事になっていた。



この世界では、高貴な者は、高い魔力を持って生まれているが為に、

高貴であると、民にも、貴族にも認められ、尊敬と畏怖で見てもらえるのである。



実際、私も、他の貴族たちと比べ、2倍くらいの強い魔力を持っていた。


私のお父様や、お母さんが、他の貴族たちと比べ、

1.2倍くらいしか違わなかった事に比べると、破格の能力と言えた。


だからこそ「影武者かげむしゃ」まで、用意され、大事に育てられてきた。



しかし、ある日、私の「影武者かげむしゃ」が、

魔力測定を迫る貴族たちから、半ば強制的に魔力測定をされた。


彼らは、彼女が「影武者かげむしゃ」である事を、半ば確信を持っていた。

そして、私そっくりの彼女なら、乱暴しても、

しょせん、偽物だから、自分たちには、害が及ばないと考えていたようだ。

魔力が高い人間による、悪事は、不問とされていたからだ。


魔力が高い人間は、

その人間の思いひとつで、カンタンに人を殺せてしまうからだ。


怒りや、妬みなどを抱こうものなら、それは、もうカンタンに……。

だからこそ、畏怖の対象なのだ。


故に、彼女は、これで、自分の人生が終わったと思った。



けれど、結果は、他の貴族たちと比べ「桁が違う」魔力を秘めていた。



魔力測定を迫った貴族たちは、この圧倒的な魔力差に、ひれ伏し、

それまでの非礼を詫びるしかなかった。


彼女が、少しでも、

自分たちに、悪意を持ったら最後、自分たちの命がないのは明らかだ。


この世界には、魔力を制御する方法が、確立されていないのだから…。



この1件以来、私は、周囲から、圧倒的な畏怖の目で見られるようになった。


そして、それは、私の家族も同じで、

私の家族は、彼女の事を、畏怖の対象として崇めるようになった。


その結果、彼女は、これまでと一転、

身代わり役から、保護すべき対象と、様変わりする事となった。


そして、私の両親は、

彼女を、本当の自分たちの娘とし、私を、彼女の「影武者かげむしゃ」とする事とした。



私は、これまでと同じように「影武者かげむしゃ」と同じ「私の名前」で呼ばれる。


異なるのは、私が「偽物にせもの」の「偽物にせもの」という存在になった事だけだ。

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