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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

つまらないオチ

作者: サバ美
掲載日:2026/02/28

初作品です!

気軽に読んでくださると嬉しいです

人通りのない、シャッターが閉まっている店が立ち並ぶそこそこ広い通りを車で通ると、昔はそこそこ賑わっていたんだろうなぁとなんとなく想像してみては、別に思い入れもないのになんだか寂しくなってしまう。さびれた店の看板だとか潰れた飲み屋やスナックとか、その中に不自然なほど真新しく建つスーパーとかがそういった惨めなものをより感じさせてくる。

赤信号だ。

信号待ちの時間は大抵ボケっと前を見て過ごすが、この町の寂れ具合について考えてたからか自然と周りを見てみたくなった。すると、僕の目に一際訴えかけるものがあった。

床屋とかの前にあるような赤と青と白のクルクルする棒。あれがあった。この手の町で必ずと言っていいほど見かけるが、やはりここにもあった。

何という名前だったかイマイチ思い出すことができない、あのクルクル。いつからかなんだか愛着が湧いてしまって見つけると嬉しくなってしまう。例のごとくその床屋も潰れているからクルクルはクルクルしていない。

信号が青になったため車のアクセルをゆっくりと踏む。目的地はもうそろそろだ。

…思えばあのクルクルは子供の頃から何か私の好奇心を刺激していた。床屋の象徴みたいな面をしておきながら床屋との関連が何一つ想像もつかなかったところが不思議で、まるで意味不明なのがなんだか面白かったのだ。

大人になってからはそんなことを考えることもなかった。「子供の頃は色んなものが新鮮で興味を引かれていたが、大人になるといろんな不安やストレスが増えてそういう気持ちに目を向けられなくなってしまう」そういうありきたりなつまらない事を言うつまらない大人にはなるまいと高校生のときは思っていたが、駄目だった。

しかし今の自分には少し期待がある。論理立てて説明することはできないが、とにかく今までとは違う尊い何かを自分のなかに見いだしている。

カーナビによるとあと目的地までは5分もかからない。あと少しだ。

少しヤニが切れてきたのでタバコを吸う。

近頃は電子タバコが主流だが、自分はなんとなく紙タバコ派だ。ライター代なんかを考えると電子タバコの方が良いんだろうが、別にお金には困っていないし、愛着が湧いてしまったからしょうがない。

……………ふー…………………………

そろそろ着く。一応念のために遺書も家には残してきたが、できれば家に帰って自分の手で処分したいものだ。そのためにもこの「作戦」は極めて慎重に行う必要がある。当たり前だが、何分初めてだから今一度手順を確認しておこう。


まずいつもより早めに会社に行く。

そして入口、屋上への階段の真ん中、その下の3階の階段の真ん中、そして全ての階の建物の4隅にあたる場所に手作り爆弾を設置する。設置途中や、設置後に誰かにバレる恐れを避けるため、外見を空気清浄機にしておいた。



設置が終わったら自分のデスクに戻り昼までいつも通り仕事をする。


昼になったら屋上への階段を遠隔で爆破。


様子を見に行くといい、部屋をでたら火災報知器を押して3階へ行き3階の人間を全員避難させる。


2階、1階と避難が終わったらあえて忘れ物をしたふりをし会社の中へ戻り逃げ遅れがいないかを確認し、3階に着いたら3階の階段と入口を爆破。これで実質的な密室を作り出し犯行が自分のものでないと錯覚させる。


いよいよラストスパート。3階で閉じ込められたと消防に連絡した後に、あらかじめ数週間前から用意していた縄を隠していたデスクから取り出し一階に降りる。


そして1階の4隅のうち裏の方の爆弾を起爆する。

3秒後その爆破で空いた穴から急いで脱出した後

全力ダッシュしながら残りの爆弾を全て爆破し会社を破壊する。


大まかな流れはこんなところだろうか。この「作戦」の最も重要なところは無人の会社を破壊するということだ。この事件に人が巻き込まれ死んでしまうということがあってはならない。

したがって会社や会社の周りに人がいない事を十分確認し、人がいれば必ずどんな手を使っても引きずり出す必要がある。自分がバレないようにできれば完璧だか、ソレはできればでいい。

自分はこのクソ会社を爆破して自分がスッキリすればいいのだ。いろんな事情の人間がこの会社に働いていて身体を壊しても無理矢理仕事をこなしていた。爆弾の作り方を調べているときにたまたま菌糸に操られる蟻の動画を見たが、まさしくだった。

新人フィリピン人のラモスくんのお母さんが亡くなって、ラモスくんが有給を申請したとき高部部長はラモスくんを平手打ちし怒鳴っていた。

南先輩は娘の誕生日だから家に返してほしいと泣きながら懇願していたが無視された。次の日から南先輩は会社に来なくなり、自分が数日ぶりに家に帰る途中繁華街の路地裏でくたびれた南先輩を見つけた。離婚したらしい。

いろんな人間が会社で働いている。がこの会社には家族を大事にする人間ばかり働いている。

独り身の人間はさっさと去ってしまうが、収入が途絶えると困る家族のいる人間は会社の洗脳もあって働かざるおえなくなってしまうからだ。

だから労基にも誰も訴えない。しかしこのままの状況が続けば、また多くの犠牲者が出る。

労基に訴えてさらっと潰れてしまってはやりきれない人間も多いだろう。そこで爆破というとびっきりのイベントを持ってその会社で働く人間の人生の華々しい転機にしてやろうというわけだ。

自分たちが働くと会社はエネルギーを得て存続していく。自分たちは消化器官だった。胃であり小腸だった。だが、いつだって「人間」は忘れているものだ。無茶に消化器官を酷使すれば、でかい反動がやってくるということを。


着いた。

持ち物確認だ。

・空気清浄機(爆弾)4✕3個プラス3個

以上!

時間は午前5時だ。

準備を進めよう。

あれ?

今日はやけにサイレンがなっていると思っていたが、会社の前に、パトカーがたくさんいる。

すると警察の1人がこちらに向かってきた。

まさかバレたのだろうか。そんなはずはない。自分はこのことを誰にも話していないし、話す相手もいない。ならこれは何なのだ?その疑問も解けぬまま自分の車に警察がやってきた。がその警察の対応は、爆弾魔を相手にしているにはいささか丁寧すぎた。

「本日もお疲れ様です。私〇〇警察署の澤部です。実はこの会社で労働基準法違反者の検挙と…自殺者がでまして…」

今日深夜、南文雄という男からこの会社の違法労働の証拠を告発する文書と今日この日ここの屋上から飛び降り自殺するという手紙が警察に届いたという。到着したころには身体が潰れた死体が会社の前に…といった次第だった。

「おそらく会社は倒産になると思われますので未払いの手当てについてはこちらからお伝えしますので早いうちに警察署へお越しください」

そう言って澤部とか言ったのは去っていった。

……

ヤニが切れて…ないけど…タバコが吸いたい。

……………………………ふぅ…………………………

…………………………ふぅぅぅぅぅ…………………………

…………はぁ…………………………………………………

今日何かが変わると思った…………

クソくらえだ。

自分は車を降り、50メートルほど離れたら

スマホを操作し爆弾を爆発させた。










クソくらえ

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