朧幽学園での確認試合
僕と雲鷺は互いに間を取った。
「――はじめ」
そんな先生の合図のもと、僕は雲鷺と距離を詰めた。
僕は拳を固め、雲鷺の懐へ打ち込む。
「...!!」
だが、その攻撃は空気に触れるだけで、体を捉えていなかった。
その後、雲鷺に腕を掴まれ、体は宙を舞った。
「...っそ!」
何とか、頭を打つのは免れたが、やはり痛い。
「降参する?」
雲鷺はそんな事を言ってくる。
「するわけないだろ。まだ序盤だろ」
僕はそう言いながら立ち上がって次の攻防態勢に切り替える。
そこから、また一拳、一拳と繰り出すがなかなか当たらない。焦りがじわりと滲む。
「なぜ...」
なぜ、当たらないんだ。まるで、見透かされているようだ。
...そういえば、僕の中に「先読みの眼」っていう能力があったはずだ。
どう使うのかな眼っていうことだから、目に力を入れるのかな?
僕は静かに目を閉じ力を入れてから、一気に目を開けた。
その瞬間、視界がゆっくり動いて見えた。
「今のうちに...ってあれ」
これ、僕の動きもゆっくりになるのか。かなり面倒で、重大な欠点でもある。
とりあえず、相手の観察だな。
僕はそう思い拳を入れていく。そうしていくうちにあることが分かったと同時に能力の時間が切れた。
「20秒って結構短いんだな...がぅ」
そういえば切れたら体がぐらつくんだったな。
右拳を打ち込む――と見せかける。
引き戻す勢いのまま踏み込み、左足で支えを刈った。
「あなたの狙いはわかりました。素直に降参したほうがいいかと思います」
「本当に分かったのか」
「まあ大体は」
じゃあ、と言わんばかりに雲鷺が攻撃を仕掛けてきた。
その攻撃を見切り、僕は雲鷺の腕を流す。
重心を崩し、そのまま床へ叩きつけた。
「本当みたいだね。降参するよ。これ以上やっても負けるだけだ」
その言葉で試合は終了した。
『にしても、よお勝ったもんやな』
「いや、直正さんの能力のおかげですよ。一人では勝てなかった」
あの能力がなければ攻撃が当たらなかった理由がわからないままだった。
「雲鷺は先の動きが読めていたんだ。しかも僕が動くより一瞬早く」
雲鷺は僕の動きを徹底的に観察していた。
筋肉の動き、重心、そして何より――関節。
「...じゃあ僕は棄権しますね」
そう発した住に担任が「どうしてだ、能力を確認するんだ」といったが。
「俺の能力そんな戦闘向けじゃないし、どちらかというとサポート向けだと思います」
そんな言葉に担任は「そうか。ならば好きにすればよい。......くれぐれも暴走させないように」と返した。
お読みくださりありがとうございます。
今回でついに維真が能力を使ってきましたよ。
まだまだ未熟なところもありますが、これからどうやって成長していくのか、作者としても楽しみな部分です。
さて、次回はついに吸収戦に向けて物語が進行していきます。
維真たちは無事、この初陣を勝利で納めていくことができるのかお楽しみに!
良ければ読んだ感想や、表現のアドバイスなどをしていただけるとありがたいです!
では、次の話でお会いしましょう。




