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第九話 作戦会議

能力ありの確認試合。

結果は――勝ったけど。だけど惨敗に近かった。


やっぱり僕は弱い。

相手の動き一つまともに読めない。体力も続かない。

挙げ句の果てに、能力が切れた後は立っているのもやっとだ。


……こんなんで、生き残れるのか。


これからは吸収戦だ。

立ち止まっている暇なんてない。


だからまずは――目の前のことから確かめていく。

確認試合が終わったあと、僕たちは担任とともに再びあの空き教室へ入った。


「次に今回の作戦会議をする」


担任のその一言で、教室の空気が一気に重くなる。


ホワイトボードの前には教師一人。

そして机に並ぶのは僕、雲鷺、そして住だった。


「三日後だ」


その言葉で、全員の現実が固定される。


「隣校は我々を“吸収対象”と見ている。逃げ道はない」


担任は地図を広げた。

そこにはすでに、学校は“施設”ではなく“拠点”として描かれている。


「基本方針は防御陣形だ」


淡々とした声が続く。


「本校舎を中心に迎撃する。二階に主戦力を配置し、階段は封鎖。突破された場合のみ後退する」


合理的な判断だった。


だからこそ、誰もすぐには否定できない。


だが、その合理性は同時に意味している。

――ここで戦うしかない、ということを。


雲鷺が静かに立ち上がった。


「いや、まだありますよね。校舎の特性を使えば、被害を減らせるはずです」


「だが君たちは、そこまでの運用能力を持っていない」


担任は即座に返す。


「ならば多少の損耗は前提にして、肉弾戦で押し切るしかない」


その言葉はあまりにも合理的だった。


だからこそ、否定できる者はいない。


――ここで戦うしかない。


そんな空気が支配する。


頭の奥で、もう一つの思考が動いた。


『あの教師、迷いがないな』


「うちの担任、判断早いですよね。去年から来たんですけど、頭の回転がかなり速いらしくて」


『だが守りは遅れた時点で終わる。遅れは死に直結する』


「直正さん、何か策ありますか?」


『……別案がある』


僕はそう言って、通信機を取り出した。


「すみません、直正さんが直接話したいそうです」


映像が浮かび上がる。


その瞬間、雲鷺が目を見開いた。


「人体通信機ってそんな機能あるんだ……」


「へぇー、そんなのあるんだ。俺っちは高くて買えないけどな」


住は興味深そうに画面を覗き込む。


「防御じゃない。主導権を取る」


画面の中の直正が言った瞬間、担任の目が細くなった。


「具体的には?」


直正は地図を見ながら続ける。


校舎の外、隣校へと続く道路。


「敵を待つな。こちらから動く前提で構える」


言葉は慎重だったが、意味は明確だった。


「迎撃位置を外に置く。校舎内に入れない状態で削る」


空気がわずかに変わる。


防御でもあり、攻撃でもある曖昧な線。


「つまり……前線を外に出すということか」


担任の声がわずかに重くなる。


その通りだ。


だが、それをどう呼ぶかで意味は変わる。


住が小さく言った。


「それって、こっちから戦うのと同じじゃないですか?」


静かな疑問。


教室が揺れる。


守るのか。戦うのか。


その境界が曖昧になっていく。


「この地形は防衛に向いている。使い方次第だ」


担任は地図を見つめ続けた。


そして静かに息を吐く。


「……現時点では防御陣形を基本とする」


決定。


だが完全な拒否ではない。


「ただし状況次第では、外部迎撃も視野に入れる」


余白は残されたままだった。


三日後の戦いに向けて、まだ形は固定されていない。


ただ一つだけ確かなことがある。


――この戦いはもう、“守るだけの戦い”ではない。


教室の空気は、静かに分岐したまま止まっていた。

長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません。


今回から、いよいよ戦いに向けた準備が本格的に動き出しました。


作戦会議という形ではありますが、実際には「どう戦うか」というより「どう生き残るか」に近い話になってきています。


次回からは、決まった方針をもとに少しずつ動きが出てくる予定です。


三日後に向けて、状況も徐々に変化していきますので、引き続き見ていただけると嬉しいです。



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