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私の話  作者: M
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小学生入学準備

そしてついに母が迎えに来た。

抵抗しようと母に「何?」と尋ねてみてから祖母に助けを求める視線を送る。

祖母は一度もこちらを見ず背中を向けたままだった。


子供の私には選択肢はなかった。

母に連れられ数年ぶりに自分の家に帰った。


小学生になるための準備が始まった。

ランドセルを購入する為、母が数枚のパンフレットを見比べながら購入し、入学式用の服を買いに行った。

父も容認しているようだった。

私にお金を使うことを渋っていた両親の行動に意味が分からなかった。

ランドセルが届くと購入した入学式用の服を着て写真館に行き入学写真を撮った。

写真が出来上がると額に入れたのを2枚用意してもらった。

そのまま母方の祖父母宅に行き写真をプレゼントした。母方の祖父母は引退したら海外一周旅行に行くのを目標に質素な暮らしをしていた為、貯金額だけは裕福な方だった。

母は写真をプレゼントした代わりに学習机を買うように交渉し、母方の祖父は了承した。

そして父方の祖父母にも同じようにしようとしたが、今まで面倒を見たのでと断れていた。


翌日、保育園から帰宅すると今まで物置部屋として使用していた部屋が私の部屋として一室用意されていた。

兄たちは2階で私は1階の両親達の寝室の隣の部屋だった。

2階には狭いが2部屋物置部屋として使用している部屋があったので、私も2階に行けると思っていた。


私はポツリとつぶやく…「お兄ちゃん達と同じ2階が良かった…」

その瞬間だった。私は壁にぶつかり転んでいた。

何が起きたのかわからなかった。

視線を上にあげると母がこぶしを握っていたので、殴られたのだと悟った。

一瞬の出来事で痛みはなかった。

母から「仕事しながら部屋を作るのに何日かかったと思っている。家にいなかったくせに手伝いもしなかったくせに文句言いやがって。」

一通り言いたい事を言い終えた母は仕事に行った。

母がいなくなると安堵と共に痛みが襲ってきた。

私は用意された自室のベットに横たわりうずくまっていた。

これから先どうなってしまうのだろうか…


入学式が近づくにつれ勉強机が搬入され私の部屋が出来上がってしまった。

両親の隣の部屋は壁が薄くある程度の会話は聞こえてきてしまう。

父方の祖父母を引退させ自分が実権を握りたいと思う父の考えや、私をこれからどうしていこうかなど、聞きたくもない会話が筒抜けで私は、保育園で習った童謡などを頭で歌い聞かないようにした。


祖父母によって閉ざした心を開いてしまった私には、もう一度、親に期待しないように心を閉ざす必要があった。

しかし6歳で祖父母との幸せな時間を過ごしてしまった私には、つらく過酷なことであった。

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