表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
案内鬼ライチの日常  作者: もなかしょこら
常世行政システム
6/151

輪廻登録センターと転生設計室

──次の生を定める、魂たちの分岐点──


魂の旅路には、終わりなどない。

あるのは、節目と再出発。


ここ「輪廻(りんね)登録センター」――通称「転生局」は、魂たちが“再び生きる”ための準備を整える場である。


この施設では、審査や調整を終えた魂に対して、その魂がどの次元、どの世界、どの器へと向かうかを決定していく。

要となるのは、魂が抱える未解決のテーマや、前世から引き継がれた因果、そして内包された“属性”。


そして、その細やかな調整を担うのが「転生設計室」。

ここでは、魂ごとに個別の“転生設計”が行われている。


たとえば――

生誕地。どの国、どの家系に生まれ落ちるか。

宿命値。その人生に与えられるテーマや業、乗り越えるべき課題。

性質。五行バランス、身体感覚、気質の傾向。

そしてバッファ。前世の記憶がどれほど残るか、あるいは忘却するか。


すべては、その魂にとって“ちょうどよい難易度”となるよう、丁寧に編まれていく。


設計室には、多数の補助職員が在籍している。


五行分析官――属性と因果の調整を担う専門家。たとえば鉄柘榴(てつざくろ)は、鋭い観察眼と冷静な判断で知られている。


感性設計補佐――魂の“色”を整える者たち。紫蘇葉(しそは)は、独特の美的感覚で魂に柔らかな調和をもたらす。


波動整音技師――魂が“響く”世界とずれぬよう、振動の微調整を行う調律者。桂蘭(けいらん)は、その音に耳を傾けることを得意としている。


ある事例では、こう記録されている。


魂ID:0789-AQK

「記憶を失いたくない」と希望を出した魂。

バッファ設定が緩められ、ほんのりと“気づき”が残されることになった。

その結果、生誕後も幼少期に「妙に懐かしい感覚」を抱く魂として、この世に生まれた。


すべては、魂にとって必要な旅路を選ぶため。

もし、魂がまだ不安定である場合、設計は保留され、魂調整ラウンジへと戻されることもある。


そして、案内係のライチは、こう語る。


「“転生する”って、何かを終えることじゃなくて、“続きの章に進む”ようなものなんです。

だから、怖くなくていい。ちゃんと、あなたに合った物語を、ここで作ってくれている人たちがいるんですから」


転生ルートは完全に固定されたものではなく、魂の状態や現世の情勢によって微調整されることもある。

その痕跡は、ときに夢の中、あるいは“生まれる前の記憶”というかたちで残ることもあるという。


次回は、転生せずに常世で過ごす魂たちの“日常”について──

「魂生活支援センターと記憶アーカイブ館」をご紹介しよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ