ようこそ、常世行政システムへ
──魂の皆さまへ贈る、彼の世のガイドライン──
ようこそ、お越しくださいました。
ここは「常世行政システム」、現世から彼の世――いわゆる“常世”へと渡った魂を迎え、癒し、導き、そして次の循環へと送り出すための、霊的な行政機関です。
混迷の現代社会において、魂の旅路もまた多様化しております。
死の瞬間に訪れる迷い、未練、悲しみ。道を見失い、流れに乗れなくなってしまう魂も少なくありません。
そんなあなたに、ここで少し、落ち着いていただければと思います。
常世行政システムでは、魂の受け入れから転生準備、さらには定住支援まで、多段階でのサポート体制を整えております。運営にあたっては、各部局の専門職員と、鬼族スタッフが連携し、日々改善と運用に努めておりますので、どうかご安心ください。
さて、当機構は主に以下の三階層で構成されております。
――第1階層:出入口・管理ゾーン
魂の港、迎え火管理局、火車の昇降口などが設置され、初期対応が行われます。
――第2階層:審査・照合・転生ゾーン
閻魔庁、因果照合課、魂調整ラウンジなど、魂の照合・評価・癒しが行われるエリアです。
――第3階層:魂の定住・支援ゾーン
生活支援センターや記憶アーカイブを含む、魂の安定と定着を支援するエリアです。
各施設の詳細については、次章より順にご紹介してまいります。
最後に、魂の皆さまへお願いがございます。
到着直後は無理に動こうとせず、目を閉じ、周囲の気配を感じてみてください。
迎え火が見えない場合でも、港湾局の係が必ず対応いたします。
なお、一部の職員は見た目に威圧感がありますが、魂に害をなすことは決してございません。
また、人間由来の案内係も常駐しておりますので、言葉に不安がある方は遠慮なくお声がけください。
それでは、どうぞ常世での時間を、穏やかにお過ごしくださいませ。
──次回、「魂の港」および「迎え火管理局」へとご案内いたします。
※本案内は、現世との霊的接続が安定した期間中にのみ配信されております。