第43話 カラムの過去と想い(3)
あれからあの子を医師に任せていたところ───、違う部屋のソファにいるわたくしは初めての不安に蝕まわれていた。そんなわたくしの元にアル様があらわれた……
「カラムっ!大丈夫か!!?」
慌てて来たのか、汗が肌から染み出てるのがわかり……わたくしはさっきまでの不安が安堵に変わり涙が溢れて止まらなくなった。……そんなわたくしの前までアル様はきてくださりギュッ─と抱きしめては少し強い力でわたくしに囁いた。
「大丈夫……大丈夫だから、俺の前では無理すんな」
その瞬間────、わたくしは思った以上に不安だったのだと気づき溢れんばかりの涙をただただ流し、アル様の腕の中で自分の涙を受け止めた。
★★★★★★
落ち着いてきた頃コンコン──とノックが部屋に響き渡りドアの前から少女の様態がわかったと通達が入ったわたくしとアル様は少女がいる部屋へと向かった。
────ドアを静かに開けるとそこには顔を顰め眠ったままでいる少女がいるのにわたくしは安堵し少女の元へと駆けつけた時、医師がわたくしに一礼をしたあと状況を説明してくださった。
「この子の状態はあまりにも酷いものでした、傷や打撲が多く回復魔法で治せるとこまで治しましたが恐らく。これは……」
そう言ったあと口をつぐむ医師にわたくしとアル様は察してしまい、少女の方へと視線を向けた。
……なんとなく。そんな感じはしたけどまさか虐待を本当にされてたなんて……わたくしはこの子をどうしたいのかしら
そんなふうに思っていたところ、アル様が顔を顰めたあと医師に礼だけ伝え部屋を後にしてもらった。…そして、アル様はなぜか部屋に防音魔法かけた
「よしっ、これでいいだろ。…カラムはこの少女のこと誰だかわかるか?」
そう問いかけるアル様にわたくしは首を振るとアル様はまた口を開きある有名な噂を話しだした。
「"公爵令嬢が病に伏せお茶会などに出たことない"……という噂は聞いた事あるだろ?」
「ええ、お茶会などでたまに話題になりますわね」
「恐らく……その公爵令嬢はこの子。クロエ・スティード公爵令嬢だと思う」
「!!」
わたくしは目を見開いて寝ているその子に視線を向けるとアル様は続きを紡ぐように言葉を紡ぐ。
「クロエ嬢は確か、金の瞳に黒髪という噂があっただろ?俺はこの状態と寝ている髪色からしてそうだと感じた。……そして今から話すことは王家に代々伝わる一部しか知らないことなのだが、黒髪・金の瞳というのは何百年に1人いるかどうかの異才の持ち主……特殊魔法を生み出せる膨大な魔力持ちだと伝わっている。だが、これは王家しか知らないことだから当の公爵本人は"気味が悪い"などとして虐待したのだと俺は思う」
そう淡々と話を続けるアル様にわたくしの心臓は
ドクドクと早まるばかりだった。
……病弱と装って実の娘に手を上げる親なんて人間以下のゴミじゃないの、なんでこの子は……容姿だけで差別されなきゃいけなくなってしまったの。
心が締め付けられるように痛くなり、わたくしがこの子にできることはあるのかと思っていた時……
「……ここは、どこ?」
そう目を擦りながら起き上がったのは幼い金の瞳に黒髪の可愛らしい女の子だった。けど、クロエ嬢はすぐにここが自分の家じゃないとわかった途端警戒態勢を取り、こちらをじっと見ているクロエ嬢にアル様が先に口を開いた。
「ここは危ないとこじゃないぞ。むしろ安全な場所だ、クロエ嬢の家よりは。ちなみに俺も危ないヤツじゃねぇからその警戒心解け」
クロエ嬢は目を見開き驚いたような表情をしたあと、少しずつ警戒態勢は取りぺこりと頭を下げた。
「……すみません、ありがとうございます。ですがもう助けなくて大丈夫です…1人で何とかしますので」
上手くない笑顔で言う少女にわたくしは胸が締め付けられて気づけばクロエ嬢を抱きしめ言葉を紡いでいた。
「あなたに何があったのかわたくしには想像は出来ません。ですが、あなたの親にバレないよう助けることはできますのよ?幼いあなたは頼れる人に頼っていい年頃です。もしよければわたくしの趣味に付き合うと思って今後付き合ってくださらない?」
その瞬間───、クロエ嬢は大粒の涙を流し震えながらもこくりと頷きわたくしの背中に手を回したあと声を出して泣いていた。
★★★★★★
朝焼けが空を覆うまだ早い朝にわたくしは目が覚め起き上がると、さっきまで見た夢が鮮明に思い出せるようで。懐かしさで笑みが零れた。
……もう何年もクロエに会えてないのだから今日会えたらわたくし、泣くかもしれないわね。
そんなふうに思いながら外を見ると綺麗な空が窓から見えわたくしは、侍女を呼び支度の手伝いをしてもらった。
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