第29話 見知らぬ者とクロエの元へ
湿った空気が漂う王城の牢には一人大声で嘆いてる者がいた───
「なぜこの俺が捕まらなきゃならないのだ…!?悪いのは全てクロエだというのにっ…!!」
そう嘆いているのはスチュワード王国、"元"第二王子のルイ・スチュワードだった。ルイは髪を掻きむしりながら声にもならない声を何度も出していたところ───ルイの目の前にローブを纏わせた姿が見えない見知らぬ者があらわれた。
「…な、なにもの───っ!!」
ルイが驚きで口を開こうとするも"無詠唱"で口を閉ざされ、ルイは驚きで目を丸くしていた。それもそうだろう、王城の牢は逃げられないよう厳重結界や警備もされている、なにより突如目の前にあらわれた見知らぬ者に国で一人もいない無詠唱を使い、口を閉ざされたのだから───。
見知らぬ者はルイに言う、惑わせるような声色で
「ねぇ貴方。私に協力してくれないかしら?タダでとは言わないわ。ここから解放してあげる代わりに……ね?」
ルイの眉がピクリと動いた。その後ルイは"解放してあげる"という単語に反応し、その見知らぬ者に協力することになり、その者は笑みを含んだ声でボソリとつぶやいた。
「……これで駒が手に入ったわね」
その声はルイの姿と共に灰になって消えていった……
★★★★★★
朝日が真上に昇る頃───僕、シルはカラム様、アル様と馬車に揺られスチュワード王国を出て1時間が経った時、アル様がため息を吐きながら僕とカラム様に告げた。
「今ゼフィールが"カラトリック厄災"……言わば原因不明の大量の魔物出現が起きてるらしい。しかも、今回は前例にないことが起きてるらしく、くれぐれも気をつけて来てくれ……と。今リヴィアからの伝令魔法で通達がきた」
……カラトリック厄災って、確か。ゼフィール王国に何百年に一度、原因不明の魔物が大量発生するって聞いたことがあった。それにここ最近だと、大規模ではないが似たようなのが十年前にあったと授業で習った。しかも、今回は異例らしい…。姉さん、大丈夫かな
そんなふうに思っていた時───、カラム様が高度な防御結界の魔法を唱えると同時に淡い光があたりを覆い、馬車と護衛の騎士たちにも気づかないよう防御が張られてた。
……さすがカラム様、こんなに気づかれず高度な防御結界を張れるのはカラム様しかできない。だってスチュワード王国にはカラム様以外この高度な防御を張ることはできないから。
僕は冷静に笑顔でカラム様にお礼を伝える。
「ありがとうございます」
「いえ。私がしたくてしたまでなのでお気になさらないでください」
そう、淡々と微笑みを浮かべながら告げるカラム様。そんなカラム様はなぜか姉さんにだけ優しく婚約者のアル様にも冷たい時があるほどだった。そんな僕は姉さんの時と態度の違いに最初は驚いたが今は慣れ、ぼーっと窓辺から空を見上げた。
……姉さん、無理してないかな。
そんな不安が頭によぎるが、今どうこうすることはできなくやるせない感情でいっぱいになってしまう。晴れてる空がだんだんと曇っていき、まるで嫌なことが起こりそうな感じがしたが今は見て見ぬフリをし、目を閉じそのまま姉さんとの思い出に浸った───。
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