第27話 クロエの覚悟
アイリーがルミナスブルーに加わってから数日が経った頃────。
今日明日は休みのためゼファーとアイリーで近くの湖に行こうと話になり、湖に向かっていた時だった。
「あれ、アイリーはどこに……?」
突如消えたアイリーに私とゼファーが焦り辺りを見渡していた時、遠くの方から足音と声が聞こえてきた。
「クロエ!ゼファー!見てみてー!!」
明るい笑顔でそう言ったのは獣人族のアイリー、手にはいっぱいの木の実を持ちながら私とゼファーに見せてきた。
「おまっ、急にいなくなるなよ!!…ってこれはルミの実だな。甘い味がして今が旬の木の実で……って、これ木の上でしか採れないやつだろ!?」
「そうだよ?だからボク登って採ったんだ!」
満面な笑顔で言うアイリーになぜが、私とゼファーは怒る気よりも心の温かさがじんわりと染みてしまい怒るに怒れなくいたらゼファーがアイリーの頭を撫でながらアイリーに言った。
「……そっか、ありがとな。ただ、次から一声かけてから採りにいけよ?もし危険な目にあったら助けてやれないんだからな」
身長が低いアイリーに屈んで言うゼファーにアイリーはハッ!とした顔をしたあと、耳をたれさせながら謝った。それに気づいたゼファーは笑顔でアイリーに言った。
「謝れるのはえらいことだからな?次から気をつければいいんだよ。……んじゃ湖行くか!」
「うん!!」
そして私たちは目的へと足を運んだ。
★★★★★★
そこには広く大きい透明な湖が広がり、周りは木々で覆っていてまるで精霊が住んでいそうな空間で思わず私は息を飲んでしまった。
「わぁ……!!広い…、綺麗!!」
目をキラキラさせながら言うアイリーは辺りをキョロキョロと見渡し、私にニッ!とした笑顔を向けて、思わず私は頭を撫でた。
その横でゼファーはボソッとつぶやいていた。
「いつ見ても綺麗だよな……」
目を細めながら湖を見るゼファーに風が髪をやわくさらっていくのに私はチクリと胸に何かが刺さった。
……なんでそんな表情をするの、ゼファーは何を抱えてるの…?
胸がギュッ─と締め付けられるのを感じるが見ないフリをし、私とゼファー。アイリーは湖を見ながら昼食を食べ色んな話をした。
────そして、私とアイリーは温かい日差しにうたた寝をしていたら気づけば眠っていた。私は目を擦りながら起き上がるとゼファーは木を背もたれにぼーっと湖を眺めていた。
……やっぱり、知りたい。ゼファーのことが
私は木を背にしているゼファーの元に行き、隣に座るとゼファーは私に気づき笑顔で『おはよう』って言ってくれたが、その笑顔は何かを隠そうとしていた。
私は拳をぐっ─と握りしめ、震える声で今まで聞けなかったことを思いっきて聞いてみる。
「……ゼファーは、なにを抱えているの?」
じっ──とゼファーの藍色の瞳を見つめ、真剣な表情で聞くと、ゼファーは唇を噛み締め目を潤ませたあと、覚悟を決めた声で話し出した。
「俺さ、十歳の時。二つ下の妹を亡くしたんだ、魔物に殺されて……」
ドクン──!と確かに私の胸がざわめき始めた。これは、覚悟して聞かなきゃいけない話だと思い、気づけば私はゼファーの手をぎゅっと握りしめていた。ゼファーは目を見開き私を見ていたが、気にせず話を続けた。
「当時、俺は魔法なんてもの妹からしか知らなくてさ。妹のセラを亡くしたせいで無詠唱魔法が発動して魔力暴走を起こしたんだ。でも、そのおかげで燃え上がる炎は消えたけどな笑」
鼻で笑うように言うゼファーに胸が強く締め付けられるのを感じ、私の方が泣きそうになってしまう。
「……セラはさ、俺にとって唯一の家族だったんだ。両親は顔も名前も知らない、俺はその当時狩りに行ってたから町が魔物に襲われてることを知らなかったんだ。もし、あの時町に居たらセラを守れたんじゃないか…って今でも思ってしまうんだ」
「それから俺は冒険者になるまではシオンとリヒトの家で過ごしてたんだけど、生きてる感じがしなかったんだよ。でも、セラが最期に言ったんだ、"兄さんだけでも生きて"って。だから俺は生きたけど、正直言えば生きたくなかった」
「そんなある日にさ、シオンから特例で冒険者が出来ることを知った時、セラとの約束を思い出したんだ」
「…約束?」
恐る恐る聞く私にゼファーは笑いながら遠くを見る瞳で答えてくれた。
「そう、約束。セラはさ、人を笑顔にすることが大好きでその為なら苦労することも率先してやる子だったんだ。けど、そんなある日。セラは俺に言ったんだ、俺と一緒に冒険者になることが夢だって。……だから俺は一人で冒険者をしてた、セラとの約束を守るために」
その時、私は思い出した───。ゼファーが時折悲しそうな…淋しそうな表情をしていたのを
……そっか、セラさんを亡くしてもセラさんの約束のため頑張って生きてきたんだ。ゼファーは
その時、私は無性にゼファーを抱きしめたくなって隣にいるゼファーをぎゅっと抱きしめ一言ゼファーに告げた。
「……話してくれてありがとう。きっと、セラさんもゼファーが生きて、冒険者をしてるのを喜んで遠くから支えてくれてると思うよ」
震える声でそう伝えるとゼファーはすすり泣く声で私の背中に腕を回し『そうだな』と小声でつぶやいた。
……どれほど、ゼファーは言葉にできない想いを抱えてきたのだろう。私には計り知れないけど、ただこうして話してくれた勇気に私はぐっ!と抱きしめる力を込めた。私は何も言わない、ただゼファーを抱きしめ、想いを受け止めるだけ。
───静寂な空気はゆっくりと日が暮れる空までじんわりと沈んでいった。
★★★★★★
風が吹き抜けるなか、またもや空からクロエたちを見ている傍観者が一人……いや、今回は二人いた。
「…あんたが言ってた子。確かにいいね?」
不敵な笑みを浮かべるが顔や姿はローブに隠れ見えずにいるところ、もう1人が口を開いた。
「だろ?……けど、主になんて言えばいいのか模索中〜」
もう1人は気だるげそうな声でそう言いクロエたちをじっと見つめるが、その姿はローブで隠され見えないでいた。
「んじゃ。用も済んだし戻ろうぜ〜」
「……あんた本当に気まぐれよね」
そう言いながらローブに姿が隠れた二人は灰のように消えていった───。
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