第19話 不穏な気配と初めての安心
「───以上がクロエさんからの報告内容だったんですが、なんか……あの時と似てません?」
私、シオンはリヒトから緊急連絡が入ったと呼び出され夕日が窓を染めるギルド長室に入り話を聞くと、身体がこわばるほどの空気になっていた。
話を聞くかぎり今日魔物討伐に行ってるクロエたちからの異常な"魔物の数"と"獣人の子を保護"。しかも、あの時と似たようなことが今起きているのに顔を手で覆いため息を吐く。
「……そうだな。嫌な感じがする」
つぶやくように言う私にリヒトも頷いた。……あー、あの時よりは酷いかもしれない。とりあえず上と国に報告しなきゃいけないな
私はリヒトの瞳を真剣に見つめ口を開く。
「あくまで私の勘だが、あの時よりも酷いかもしれない。……リヒト、私は上と国に報告するからリヒトはクロエたちが帰ってきたら呼び出しと説明をしといてくれ、恐らく明日の夕方に帰ってくるだろ」
「……わかった」
リヒトはいつもの敬語が抜け、覚悟を決めた瞳をしながら私に伝えこの部屋から出てった。
「……はぁ。厄介なことになったな」
窓からさす夕日を見つめたあと、私はすぐに書類の準備と上や国への報告の手配を始めた。……お願いだから、あの時よりも酷くならないでくれよな。
そんな祈りを心の中でつぶやくがこの先どうなるかは私にも分からない───。
★★★★★★
────遡ること数時間前。
雨が降りしきる森のなか、ボク。アイリーは家族に捨てられこのボロ小屋の中に閉じ込められた。
『お前はもう必要ない。このまま死ねばいい』
散々ボクを痛めつけた家族は最後にそう言ってこの小屋から出られないようにされた。……お腹が減った、身体が痛い。このまま僕は死ぬのかな……、でも死んだ方がマシかもしれない。
そんなふうに思い瞼を閉じそうになった時───。
「イギャアァアーー!!?!」
何かが死ぬ声がこだましていくのが外から聞こえ、僕は瞼をゆっくり開けると─ザシュ…──ザシュ……と何かが切れる音だけが聞こえた。……だれ、この声はなに?…もしかして、ボク殺されるのかな。
そう思って逃げようと力を踏み入れた時バタン─!と足を滑らせ地面に思いっきり身体をぶつけてしまい、痛くて涙が溢れそうになった。
その時だった───小屋の扉が開いたのが耳で聴こえるも、上手く体が動かなくそのまま地面に突っ伏していたら、温かいのなにかが身体中に巡り、痛みがなくなった。
ボクは顔を頑張って上にあげると。体格の細い藍色の瞳に髪をした男の人が黒髪ポニーテールで濃い金色の瞳をした女の子のそばにいて、女の子はボクをじっ─と優しい瞳で見ていた。
「…………」
この時ボクは思った。───この人たちは悪い人じゃない、って。………安堵が全身に巡り、今まで泣けなかった涙が頬をつたいそのままボクは瞼を閉じた
───起きたらお礼を伝えよう、この人たちはボクを助けてくれた神様たちだから。
ボクはその後初めて誰かの温もりを感じながら
温かく心地いい眠りの世界へと沈んでいった。
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