第17話 扉の先には─?
───足を鎖で繋がれた獣人の子供がいた。
全身傷だらけにやせ細った体型、服や髪もボロボロ、それはまるで……昔の私みたいだった。
私は思わず立ちすくんでしまい、足が思うように動かなく頭の中が真っ白になっていくのを感じ、言葉が上手く出ない。
『お前は私の"道具"なのだからミスをしたら罰を与えるのは当然だろ!!このっ─"無能"が!!!』
───そう言いながら幼い私に暴力をふるったクソ親父。忘れたはずなのに、この"光景"を見てしまったからには思い出してしまう。……幼い時、私はミスをしただけで暴力をふるわれ、食事も出されなかった。"食べなきゃ死ぬ"と幼い私は本能で感じ取り、水魔法でなんとか水だけは摂っていた。
そんなことが数年続いたある日、第二王子の婚約者が私だと決まった時からクソ親父は私に暴力を振るわなくなり、むしろ教養を詰め込んできた。
『クロエ。お前は俺より身分が下なのだから敬語を使え、それから俺に一切触れるな』
───初対面で私にそう言ったルイ殿下に私はクソ親父のようで一瞬にして冷めてしまった。そこから私はどこにも希望を見いだせず、誰にも頼らないでいるようになった。魔法や剣も寝る間も惜しみ、隠れて特殊魔法や水以外の魔法を使えるように努力を重ねてきた。
……けど、この光景はシルや私よりも酷く段々と呼吸が浅くなり、震えていく身体に雨音が遠くなっていった。その時、遠くからゼファーの声が聞こえた
「──ロエ、───クロエっ!!!」
ハッ─!と意識が戻され気づけばゼファーが私の肩に手を置いて張り詰めた表情で私を見ていた。……今はそれどころじゃないわ、まずこの子を助けなきゃ
私はゼファーに笑顔を貼り付けて伝える。
「……ごめん、ありがとう。大丈夫だから」
眉間に皺を寄せ、真剣な瞳でずっと見つめるゼファーは恐らく私の"嘘"に気づいてるだろう、でも今はこの子を早く助けなきゃこのまま死んでしまう。
私はゼファーから無理やり離れ、倒れている子供の鎖を無限収納から特殊はさみを取り出し、バチン─!と切った。その後私は目の前で倒れてる子に身体強回復を付与する。すると、段々と傷やあざなどが消えていき回復はできたと安堵が全身に巡る。
そんな時だった───
「……………」
無言でうっすら目を開けた子供は目を見開いたあと、涙を浮かべそのまま目を閉じてしまった。その後、スー…スー………と寝息が聞こえ私は床にへたり込む。
「……よかった、生きてる」
「……だな」
私はこの子を救えたことに安堵し、寝ているその子をぎゅっ─と抱きしめる。………どうしてこの子はこんな所に隔離され暴力を振るわれてたのだろう。胸がギュッ─と締め付けられる。それに、猿切の異様さもギルドに報告しなきゃ行けない。
私は決意を固め、ゼファーに言う。
「ゼファー、猿切の異様さとこの子のことシオンさんに言わないと行けない気がするの」
真剣な瞳でゼファーを見つめながら伝えると、苦笑しながらも笑顔で頷いてくれた。
「んじゃ、俺がこの子連れてくからクロエは少し休め。歩きながらでいいから」
……やっぱり、ゼファーは何も言わないが私の"嘘"に気づいてた。トク─トク─と鼓動が早くなり、体温が上がるのを感じた。いつか、私のことを話せるようになったらその時は逃げずに話したいって思う。
「……ありがとう」
優しく、心から伝えると、ゼファーは口角を上げ穏やかに笑った。
「じゃあ、帰るか!」
「……はい」
───その後、私とゼファーは森を抜け小さな町にある『灯り宿』に泊まった。
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