第2話 おっさん考えてみる
後日俺は会社へ行った。
休みたい気持ちもあったのだが、俺が休んでは示しがつかない。
上司とは本来、部下に慕われ、尊敬され、目標となれる人材でなければならないと俺は常々思っている。
だからこそ、こんな理由で休んではいけないのだ。
俺からしたらこんなでは済まされないが、それが社会と言うものだ。
会社へ到着すると……
加藤さんと目が合う。
加藤さんは会釈だけすると、自分の仕事場へ戻った。
相当きまずいのだろう。俺も気まずい。
すると、
「部長! 加藤さんに告ったって本当ですか?」
「うそ、あれ本当だったんですか!?」
予想通りギャラリー(部下達)が押し寄せてくる。
聞く話によると、加藤さんが別の部署の人に話して、そこから広まったという。
俺の心はいたたまれない気持ちとなった。
そして、何でおれが結婚しているのか知らなかったのかというと、部下達全員で隠していたとのことだった。俺の加藤さんに対する気持ちをみんな知っていたのだ。
だからこそ、仕事に支障をきたさないため隠していたという。
俺って部下にそんな心配されてたのか。
信用されてなかったんだろうか。
そういう意味ではないことも理解はしているのだが、昨日の今日ということもありしんどかった。
――――ほんと、なんで俺はこんな仕事を続けているんだろうか。彼女が既婚者だとわかった今、どこに頑張る理由があるというんだろうか。
先程とは打って変わり、頼りになる”上司”と言った雰囲気は微細も感じられない竜二であった。
腰を掛けてデスクワークをするもおぼつかない様子。
すると何を思ったのか……
「会社辞めようかな~」
頑張っても意味ないし、株や仮想通貨で稼いだお金がたんまりとある……辞めても、問題はないんだよな。
そんな事を天井を見上げながら考えていた。
なのに指の動きは一切止まらずパソコンに文字が入力されていく。
まさに天才である。
頭で考えること、そして指を動かすこと。
これをいともたやすく行っているのだ。
本人は気づいていないが、普通の人ではなかなかできない。
非凡な才能の持ち主である。
やめるにしても今してる仕事はなかなかやめれれないし。どうしたものか……
無理やり辞めてもいいが、それだと部下の重荷になってしまう。
第一、だれに俺の仕事を引き継がせるのか。課題はやまやまだ。
それと、会社を辞めた後時間が有り余るわけだが、それについても考えねばならない。
デスクワーク中、ずっとそればかりを考えていた。
相も変わらず仕事は流れ作業のようにスラスラと終わっていく。
流石はこの若さで部長になった男である。
時間がたつにつれ、考えも多少は纏まってきた。
とりあえず会社を辞めることは確定事項にしよう。
考えが纏まると、まずは後澤うしろざわ社長に相談しにいった。
理由としては「今の自分を見つめなおしたい」的なことをいった。
勿論社長が、はいそうですか、というわけもなく苦労はした。
けれど、食い下がりに食い下がった結果、承諾はしてもらえた。
それから半年後、俺の代わりも見つかり、部下達とも円満な別れをして俺は会社を去っていった。
さて、第二の人生どうしたものか……
面白いと思った方、いいね評価リアクションブクマなどお願いいたします!