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開かれた目 〜Memocracia 歴史の影に沈んだ文明〜  作者: CIKI
第二章:永遠の目による監視
7/18

「封印された記憶の解放」

「記憶のフラクタル」発動中…… / 同年 同日 15:18 / 神聖記憶主義社会〜崩壊の時代〜



その頃、地上の広場に設置された巨大スクリーンが突如として光を放ち始めた。普段は教会の宣伝や秩序と平和の映像を映しているスクリーンだったが、今そこに映し出されているのは、いつもとは異なる光景だった。


画面に映るのは、食卓を囲む家族の様子だった。子供用の椅子に座る幼い少年が母親の手作り料理に歓声を上げ、父親が優しい声で話しかける。テーブルの上には湯気の立つスープ、パン、そして鮮やかな果物が並んでいる。


何気ないが温かいひととき。しかし、その場に立ち尽くす一人の中年の男性が、突然息を呑んだ。


「これ……これは……俺の家族だ。」


画面を見つめるその目に涙が浮かび、記憶の断片が脳裏をかすめる。断片的に忘れ去られていた記憶が、今まさに蘇り始めていたのだ。


次に映し出されたのは、ある村の記録。


初めは豊かな田園風景だったが、シーンが切り替わると、村は戦争によって無残に焼き尽くされていた。燃え盛る家々の中で子供を抱えた母親が必死に避難を試み、兵士たちの怒号が響く。


そこに教会の神官たちが現れ、住民たちを収容所のような建物に誘導していく。


「我々は平和をもたらすためにここに来た。皆さんの協力が必要だ。」


彼らの宣言とともに、住民たちの家屋は没収され、農地が教会の名義へと変わっていく映像が映し出される。広場に立っていた一人の年配女性が、声を震わせた。


「これは……私たちの村……。なぜ……こんなことに……。」


彼女の声が響いたとき、別の映像がスクリーンに流れ始めた。


それは、教会の施設で子供たちが記憶を「浄化」される様子だった。機械に繋がれ、目を閉じたまま記憶を削除されていく子供たち。


その無表情な顔が映し出されると、広場にいた群衆の間に静かなざわめきが広がる。


「私たちはずっと騙されていたのか……。」


誰かの低い声が響き、映像を目にした群衆の中で次第に動揺が広がる。


画面は過去の記憶を次々と映し出し、かつて平和とされてきたものの裏側に隠された真実を暴いていく。誰もが沈黙の中で、目の前の真実を受け止めざるを得なかった。


最後に映し出されたのは、かつての「開かれた目(The Open Eye)」の象徴とも言える広場の様子。人々が自由に記憶を共有し、共感し合い、平和を築いていた理想郷の風景だった。


しかし、その映像は次第にノイズに覆われ、画面いっぱいに教会の神官たちが村を掌握する様子へと切り替わる。画面下部には、記憶の浄化作業完了の文字が冷たく映し出される。


「教会が、私たちの過去を……!」


「消されたはずの記憶がどうして……!」


人々はスクリーンに向かって怒りと涙を露わにし始める。それは静かな怒りの波動となり、次第に広場全体を包み込んでいった。


その中で、一人の若い女性がスクリーンを指差しながら叫ぶ。


「これが……これが私たちの真実だ!」


その声に呼応するように、群衆の中から同じような声が次々に上がり始めた。怒り、悲しみ、そして希望の混ざり合った声が、まるで巨大なうねりとなって広場を支配していった。


「私たちは……嘘をつかれていたのか?」


「これが、私たちの本当の記憶なのか……?」


だが、「記憶のフラクタル(The Natural Memory Flow)」の拡散と共に、教会の反撃も始まる。


中央施設では緊急システムが起動し、「記憶のフラクタル(The Natural Memory Flow)」の伝播を食い止めようとする遮断プログラムが動き出していた。


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