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開かれた目 〜Memocracia 歴史の影に沈んだ文明〜  作者: CIKI
第一章:開かれた目の遺産
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「継承される知識、繋がる夢」

「記憶の海」アクセス中…… / 同年 9月9日 9:24 / 民主記憶社会主義時代



広場の巨大スクリーンに、ある発明家の記憶が映し出される。名前は ミカエル・アルトン。彼は、農村の貧しい家庭で育ちながら、自然の仕組みを学び、効率的なエネルギー装置を開発した人物だった。


スクリーンには彼が苦悩しながら試行錯誤する様子が映る。


彼の声が広場に響く。


「どうしてもっと効率的なエネルギーを作れないんだ?  みんなが等しく使えるものを……。」


映像の中で、彼は風車と太陽光パネルを組み合わせた風光融合発電装置を完成させる。それは、ほとんどのエネルギーを自給自足できない村に光をもたらした。


笑顔で語るミカエル。記憶の共有によって、この装置の作り方が広く伝えられる。


広場の端に立つ若い技術者、エレナが興奮した表情で端末を手に取る。


「これだ……この記憶を学べば、私の村でも実現できる!」


彼女は記憶をインストールし、ミカエルの視点から装置の設計を追体験する。風の流れを計算し、太陽光パネルの角度を調整する手の感触。工具を握る指先の細やかな動き。すべてが自分の経験のように染み渡る。


エレナは都市での会議を終えるとすぐに村へ戻り、地元のエンジニアたちと協力して新しいバージョンの装置の開発に着手した。村の人々も総出で協力し、必要な材料の調達や作業場の準備を進めた。


ミカエルの設計を基にしながら、さらに効率化と耐久性を追求する改良案が次々と議論され、試行錯誤の末、ようやく装置の試作が完成した。それは何週間にもわたる徹夜の作業の結晶だった。


完成した装置は村の「記憶祭(Memory Festival)」で披露され、多くの人々がその記憶を共有することで評判が広まった。その後、都市部の大企業のエンジニアたちもその記憶をインストールし、材料をより安価で再利用可能なものに改良するプロジェクトが発足。装置は、さらなる進化を遂げていった。


農村、都市、離島──装置の技術は次々と応用され、それぞれの地域の特性に合ったバリエーションが生まれていった。


「このデザインなら、砂漠地帯でも使える!」


「風車の形をもっと小型化すれば、都市の高層ビルでも設置できる!」


記憶共有の連鎖によって、一つの才能が全世界の知識となり、地球規模でのエネルギー革命が進行していた。


ある晴れた午後、エレナは村の広場に立っていた。そこには子どもたちが遊ぶ声や、装置を整備する人々の音が響いている。その中で、一人の若い女性が手のひらに装置を乗せ、指を窪みに差し込む姿が目に入った。


装置が淡い光を放ち始め、周囲の空気がわずかに静まる。


「村を救いたいんです。」


その女性の小さな声が、過去の自分を見ているようにエレナの胸に響いた。


彼女は遠くに設置されたスクリーンに目をやる。そこにはミカエルの言葉が再び映し出されていた。


「この技術は、誰かの夢を叶えるためにある。そして、その夢は、次の人の夢へと繋がる。」


エレナは広場の一角に腰を下ろし、装置を通して受け継がれる思いが新たな未来を築いていく様子を静かに見つめた。


彼女の目には確かな希望が宿っていた。


「誰もが自分の記憶を次の誰かに渡すことで、世界は変わる。」


広場には、彼の記憶から発展した装置が展示されている。それを見上げる子どもたちの目は希望に輝き、彼らの未来を明るく照らしている。


「これが、記憶の力だ……。」


老人が静かに呟く。


「一人の才能が、全体の才能になる。それが、私たちの進むべき未来だ。」


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