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今日から私が上杉謙信!?

作者: 若狭巴

「(あぁ、どうしてこうなったんだ!できるなら、あの日の自分をぶん殴ってでもあそこに行くのを止めるのに!」


今日は雲一つない快晴。

 

本来の時代にいたら今頃甘いものでも食べてのんびりしていたはずだった。


だが、三年前に妖しい光に包まれ気がついたら人が死ぬのが当たり前の時代、戦国時代にタイムスリップしていた。


今現在は戦中。


平和な時代に生まれてのほほんと生きてきたのに、人が人を殺す狂気の中にいた。


人を殺したことなど一度もなかったのに、殺さなければ生きられない。


「(それもこれも、全部この時代にきたせいでこんなことに!)」


舞桜は自分を殺そうとしてくる人間を片っ端から斬り殺していく。


半年もこんな狂気の世界にいたら人を殺すことが当たり前になり今では何とも思わなくなった。


自分がいた時代がどれだけ幸せだったのか思い知ると同時に自分じゃなくてもよかったんじゃないかと腹を立てる。


「謙信!覚悟!」


敵に名を呼ばれ「ああ、本当に自分は上杉謙信になったんだ」と自覚する。


舞桜がこの世界に来る少し前に、本物の上杉謙信が死んだため代わりとして上杉謙信にされた。


どんなに嫌だと思っても、この時代で生きていくための知恵もお金もない舞桜には選択肢がなかった。


人を殺すのも、一国の主人になるのも、戦国時代に飛ばされたとき女子高生だった舞桜には荷が重すぎた。


だが、生きて元の時代に戻るには上杉謙信として生きていくしかなかった。


戦なんて昔のことで自分には何の関係もないことだと、そう思っていたのに……。


タイムスリップなんかしたせいで人殺しになってしまった!


心が壊れそうになったことは何度もある。


その度に自分のいた時代に帰るために頑張るしかない、と奮い立たせ何とか耐えていた。


ただ舞桜は自分の名前と年齢しか記憶がなく、両親、友達の名前や顔を覚えていなかった。


それと、歴史がどうだったかも上杉謙信が何者だったのかさえ覚えていなかった。


でも、人を殺すことを選んで帰りたいと思うほど大切な人達だったと本能でわかっていた。


だから、何とか生きていられた。




「謙信様!ご無事ですか?」


「ええ、問題ないわ。状況は?」


「全て順調に進んでおります」


「そう、なら信玄の首を取って終わらそう」


「はい」


舞桜はどうしたら元の時代に戻れるかはわからず、それを探そうとしても戦が続きそれどころではなかった。


今のところ負け戦は一度もないが、いつ負けるかわからない。


負けて殺される前に帰りたい!


そのためにも、今戦っている武田信玄を殺して帰り方法を探す時間をなるべく多く確保したかった。


「(ああ、クソッタレ!何で、そもそも私がこんなことを!今すぐ帰りたい!ケーキ食べたい!アイス食べたい!甘いもの食べまくりたい!テレビ見たいし、ふかふかのベットで寝たい!いや、何より風呂に入りたい!!もう、嫌!限界!どんな手を使ってでも生きて、絶対に帰ってやる!!)」


とりあえず、信玄を殺してから後のことはそれから考えるとしよう。


「行こうか………あ、そうだ。じぃ、今回はちゃんとおやつ持ってきてくれた?」



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