嵐の前の不穏な影
真夜中のとある場所にて、
「ねぇ、計画は進んでいるのかしら。」
ある一人の少女は言う。
「計画なんて、ほぼないようなもんだろ、ゾウがありを踏み潰すのにいちいち考え事をするのか?」
その少女の問いかけにこたえるのは、白衣を着た少年、目を隠すまでのばしてあるマッシュルームカットの髪の毛、そして吊り上がった口角。
この少年を見て変だと思わないものはいないだろう。
「いいや、計画は叱り建ててもらわないと、失敗したらあの方の迷惑になるわ。 あまりユートピアの精鋭をなめないことね。」
「なあ、おまえ、あの方あの方っていうけどよぉ、俺はあくまで俺の実験に手を貸してもらう代わりにひと騒ぎ起こすってだけさ。 俺は、俺の自慢の怪物たちがユートピアを破壊するところが見たい、お前らの大将はユートピアにちょっかいをかけたい。 ただの利害の一致だぁ。」
白衣の少年は、近くのテーブルにあったアタッシュケースを手に持つ。
「俺に命令すんじゃねぇ。」
そういって少年は、都市の暗闇の中へと消えていった。
そこに残ったのは、一人の金髪の少女。
「はぁ、私が言いたいのは、ことを起こす前に情報が漏れないようにしろってことなのだけれど。 あんな狂犬、どうしてあの方は協力したのかしら。」
少女はため息をつくと呪文を唱えた。
「クリーン」
その少女は、その場に自分がいたという痕跡をすべて消し去ると、その少女もまた暗闇の中へ消えていった。
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