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さらなる激闘と限界という名の本領発揮

「何がじゃあなのかはわかりませんが、嫌です。」


「会長⁉ 何言っているんですか⁉」


茜と呼ばれたその女の子は会長の突然の提案に驚く、俺は何を言われても断るつもりでいたから、たいして驚かなかった。

周りの観衆もざわつく。


そして、そんなざわめきを一蹴するかのように会長は声高らかに告げた。


「今から、私の付き人の茜とこの少年、結城君の模擬試合を始める‼」


「会長、模擬試合は許可を取ってからじゃないといけないんじゃ。」


茜さんは、困り顔でそう言った。

というか、俺、まだやるって言ってないんだけど。


「いいよ、すべての責任は私がとる。 それとも劣等生に負けるのが怖いかい茜。」


明らかに見え見えの挑発だ。

こんな挑発にはさすがにかからないだろう。

こんないきなりの勝負とっとと否決して、帰れると思ったのだが…


「そ、そんなことはないです。 簡単に勝利を収めることができます。 いいでしょう、やります、やりましょうとも、かかってきなさい、このへなちょこ男‼」


ええー、簡単だな、おい! というか…


「そ、そこまで言わなくてもいいんじゃ。」


俺は、がっくりうなだれる。

この茜という人は口が悪いようだ。

もう呼び捨てで茜と呼んでやろう。


「じゃあ、はじめようかな。 結城くんかな? 準備はいい?」


「俺まだやるって言ってないんですけど。」


「いいのかな、君は知らないだろうけど、教員のみで行われる会議では君の退学は決まっているもんなんだ。 すべての手続きが済んでから、最終的に君には退学が言い渡される。 君が今からどれだけ頑張ったって、君の退学は覆らないところまで来ているんだ。」


「な、なんだって……嘘だ。」


「嘘じゃない。 私も仮には生徒会長だ、こんなにギャラリーが多くいる中で嘘なんてついたりしないさ。 まあ、信じなくて損するのは君だけどね。」


「じゃあ、俺はもう何をしても、何をあがいても無駄なのか。」


「だから‼ この決闘の結果次第では、私が君の退学を取り消してあげてもいい。 この魔術研究都市ユートピアは結局は実力社会、結城君、私は君に実力を証明する機会を、チャンスをあげているんだよ。 わかったかな。」


ああ、そうか俺にもともと選択権なんてなかったんだ。

どちらかといえば、俺が頼む側だ。


「わかったよ、やるよその決闘。」


「ふむ、茜も準備はいいな、手加減は不要だ、全力でやりなさい。」


「わかりました会長。 あなた結城さんといったかしら、何やらあなたにもいろんな事情があるようだけど、それで手加減する理由にはならないわ、全力で行かせてもらうわよ。」


会長は、俺と茜さんのそれぞれを交互に見ると、目を閉じて手を上に掲げた。


「では…はじめ‼」


茜は、先手必勝で来るつもりで突撃してくるつもりなのか、地面をぐっと踏み込んだ。


「な、なんだこれは…」


地面を深く踏み込んだ茜の足の周りから大量の電気が放出された。

こいつはいわゆる、電撃使いだ。

しかもこの出力、流星みたいにはいかないなこれは。


「カレン、なんか相手は強そうだが、お前がいれば何とかなるよな。」


そう、俺にはカレンがいる、どんなに強い奴だろうが俺には関係ない、正面から受け止めて、さっきみたいに圧倒的なパワーで押し勝ってやる。


「あー、結城、すまんがこの勝負、負けるぞ。」


へ?


「いやー、ここまでのがそうそう出てくるとは思わなんだ。 残念だったなあきらめろ。」


「いや、お前、どんな奴でも倒して見せるって…」


「結城、どんなことにも限界はある。」


俺は、カレンの言っていることがいまいち頭に入ってこず、散らばある思考をかき集めるのに必死だった。


その時だった。

茜の足元で電撃の火花が散ったかと思いきや、茜の姿は、電撃の残滓を残して消えた。


「っ‼ 消えた⁉」


「結城、腹を守れ‼」


カレンのとっさの叫びに、俺は反射的に刀を抜いて腹部をガードした。


ううっ、重いっ。

そう、俺のガードした腹部には、ガードしていなければ俺の意識を一瞬で刈り取るのに十分であろう電撃のキックがめり込んでいた。


茜はそのまま、宙返りで結城と距離をとった。


見えなかった。

カレンの助けがないとさっきの攻撃で試合は終了していた。

俺の退学がかかってるっていうのに……


「なあ、カレン俺はこのままじゃ負けるのか。」


「ああ、負けるな、間違いなく。」

カレンはそっけなく答える。


「そうか。 わかった。」


俺は、俺にできることをするだけだ。

茜さんの戦闘スタイルは、電気をまとった攻撃であり、主に足に電気をまとわりつかせて、高速で移動したり、その攻撃を受け止めた相手を感電させる技……かな、ざっと見た感じ。


「ふん、あなたもなかなかの速さがあるようだけど、私の方が早いわよ。 さっさと感電して倒れた方が痛い思いをしなくて済むかもよ。」


「…ぐうの音も出ないな。」


そのあまりにも速い動きに、俺は茜さんの攻撃を刀で受け流すので精いっぱいだった。

くそ、俺は魔力を得て、いい気になっていたけどそれは全部力任せなものばっかりで、魔力操作だけでなくその体の動かしかたにおいても全然だめだ。


これは、俺がおごっていた結果だ。

今、負けそうになっている事実も全部カレンに頼り切っていた結果だ。

結局俺は、俺自身の力では何もできない、逆にカレンの本当の力を制限している。

ああ、やっぱり俺はダメなんだ。


「いくわよっ‼」


そんなことを考えていたら、茜の蹴りが俺の横腹にクリーンヒットし、俺は会場の端まで吹っ飛んだ。

 

くそっ、全然攻めに転じることができない、このままじゃ負けてしまう。

俺の頭の中をとある考えがよぎる。

別に負けてもいいんじゃないのか、別に負けたって誰も責めやしない。

ああ、弱い奴が強い奴に負けたんだって、ただそれだけだって、それでいいじゃんか。



「ふん、ずっと倒れたままうずくまって、もう負けを認めるのならとっとと降参したら? 

これじゃあまるで私があなたを痛めつけているみたいで、私も気分が悪いから。」


茜は、まったく起き上がらない結城に対して、戦意喪失と判断したらしく、構えを解いて攻撃の手を緩めた。


「なんてな……何回これやってんだ俺。」


「ん? 何か言ったかしら。 うずくまってないで話すときは相手の目を見て話すことね。」


茜は完全に勝った気でいた。

しかし、結城のまとうオーラが変化したことに気づく。


「いいや、独り言さ。」


結城は、ゆらゆらとした足つきではあるがしっかりと立ち上がった。


「降参するつもりはないよ、もう負けたくないんだ、この理不尽な世界に屈したくないから、そして何よりも大切な自分を見失いたくないから。 逆に謝らせてもらうよ。 ごめんね、僕は勝つよ、この勝負。」


ああ、体全体が熱い、全身の血液が沸騰しているみたいだ。

今まで冷え切っていった俺の魂が燃え上がっている。

抑え込んでいた自分があふれ出てくる。


「ふふ、やっぱりお前は私が見込んだだけはある。 お前の魂やはり燃えずにいるのはもったいない‼」


「カレン、力をうんとよこせ。」


頭の中に知らないはずのことまで流れ込んでくる。

そうかつながっているんだ、炎の賢者カレンの脳内の知識と

自然と体が動く、体全体が燃え上がっているかのようだ。

まるで今までずっとこの刀を振るってきたかのようだ。

いける‼


「炎の剣技 一の型 炎流一閃‼」


俺は、剣を振り、茜に茜の間合いに高速で接近すると、頭でイメージするままに刀を振った。


茜は、俺のすべてが変わったことに気が付き、その迫りくる刃に対して足に最大級の電撃を乗せて、蹴りをぶつけた。


爆ぜた。


観客席から見ていた生徒から見たら、それは目に見えるほどの衝撃波だったという、会場のガラスが全て割れて、その地点を中心に地面がごっそりえぐれた。


その衝撃の波が収まった後、俺たち二人はお互いに壁に叩きつけられ、お互いに地面に倒れていた。

二人は、もう動かないかと思われたが、すぐに同時に立ち上がった。


「そこまで‼」


会長の声が響き渡る。

そして会長が二人にむかって手を向けると、さっき会長が炎黒刀に触れようとしてただれた手を治したように、俺たちの体を回復させた。


しかし、体力までは治らないらしく、俺は、おぼつかない足取りで立ち上がった。


「ありがとうございます、会長。」


「いってえ、その魔法すごいっすね会長さん。」


「うーん、二人とも倒れたらこの戦い引き分けだねっ。」


おいおい、そんな結果だと、この会長は納得しないんじゃないのか。

そう思ったが、茜はしゅんとした様子で、よく見ると頭に生えたアホ毛もそれに伴ってしゅんとなっている。


「それでいいかな、結城君」


「でも、俺の退学の件は結局どうなるんですが⁉」


「ああ、もともと私に教師たちの決定を覆す力なんてないよ、私もいち生徒だもん。」

会長は、何の悪びれもなく嘘をついていたことをばらした。


「しかし、君の退学が決定しているのは本当さ。」


「なら、結局、俺がしていたことは無駄じゃないですかぁ‼」


「いや、一つだけ方法がある。」

会長は、大きく胸を張りビシィっと俺に指をさした。


「それは君が生徒会に入ることさ‼」


「生徒会? なんでそれが魁夷結策になるんです。」


「会長⁉ た、確かに実力としては申し分ないかと思いますが。 こんな素性のしれない奴」


「素性のしれない奴って、彼も桜火学園のちゃんとした生徒だよ。」


「そ、それはそうですが」


「ちょいちょーい、まだ俺は入るって決めてないけど……」


「じゃあ、いいよ、私とも決闘しよう。 君が私にタッチできたら勝ち。」


「まあいいですけど、そんなタッチくらい今すぐにでもできますよっ‼」


そういって会長の肩を叩こうとしたら、次の瞬間には、視界がグルンと回転し、会場の天井が見えていた。


「はい、生徒会に入るの決定ー。 じゃあ明日から生徒会室に来てねー。」



俺は、生徒会に入ることがどう解決策になるのか聞いていないぞと言いたかったが、もう会長は上機嫌にその場を立ち去って行ったため、何も言えずに解散の雰囲気なってしまった。


会場は、もう既に解散ムードになってきており、既に人がばらけ始めていた。


「しかたない、今日は俺ももう疲れた、帰って寝よう。」


そのまま会場を退室しようかと思い、出口に歩みを進めたが、途中で後ろから肩をつかまれた。


流星だった。


「結城ちょっと話がある。」


「なんだよ、もう勝負はおわっただ……」

そうだ、なんだかんだ茜さんとの戦いになって忘れていたが、俺はこいつとの決闘に勝ったのだ。

もう、こいつは俺にちょっかいをかけることはできない。

それが、この学園のルールだ。

こいつの俺に対する行動はみんなの目が監視となっている、こいつは何にもできない。


「すまなかった‼ お前も知っているかもしれないが、俺は名家の生まれで強くなれって毎日特訓を受けてきた。 だから、俺には強くあることしか価値観がなかったから、弱いお前をないがしろにするような発言や行動ばかりをしていた。」


あれ?

な、なんか一人語りが始まってしまったんだが


「でもお前のあの強さは、きっと何重にも重ねられた特訓によるものだと思う。」


いや、昨日たまたま拾った刀のおかげですが…

ん?ん?なんだろう何か勘違いされてる?


「俺は、そんなことにも気づかなかった俺は、自分が恥ずかしい‼ もう一度言わせてもらうよ。 本当にすまなかった……。」


うーん、幸せならそれでオッケーです。


俺は、なんとか流星の涙の抱擁から逃れて、帰途についた。


帰ると昨日のあの事件を思い出す。

その思い出しに反応するかのように、腰についていた刀は、人の姿に変わる。


「なぁ、お前学園でもその姿のままいればいいんじゃねぇのか? そしたら、俺の腰の負担減るんだが」


「それは、私が重いってことか、レディに対しての礼儀を教えてもらわなかったのか。」


「そんなもん、知らねぇよ。」


「私がこの姿で日ごろいるのはいいけれど、刀の状態を保ってないとあなたの脳内には直接話しかけられないだろう。」


「なんで、別に普通に話せばいいんじゃないのか。」


「はぁー、ご主人、気づいていないかもしれないけれど、私、ご主人以外からは見えない存在なのだよ。 まあ、例外もあるけど。」


「ええっ、それって……」


「幽霊みたい?」


少し、カレンは悲しそうな顔をした。


「い、いやそういうわけじゃないけどよ、結局お前ってどういう存在なのかなってさ…」


「ふん…どういう存在ね……いざ説明してといわれても難しいな。」


カレンは、どういったものかと顎に手を当てて考える素振りをする。


「まあ、この刀に封印されている魂の意思存在って感じかな…」


んん、なんかまた難しくなってきたな、それに封印ってあのおかしな男も言っていたな。

というか、あの男の正体は結局何だったんだ?

わからないことが多すぎる。


「ふふ、どうやら混乱させてしまっているようね。 まあ、少し特別な力をもった、あなたにとりついている幽霊で構わないわ。 この契約、どうせあなたが死ぬか、私が死ぬかしないと解けないし。 お互いのことについて焦る必要はないんじゃない?」


なんか死ぬとか物騒な言葉が出てきたが、こいつの言うとおり俺は考えるのが苦手だからな。

そこらへんは、テキトーでいい。


「俺はもう寝るが、お前、昨日はどこで寝たんだ?」


「ん、ああ、刀の状態で寝ていたが、なんだ、添い寝でもしてほしいのか?」


見た目だけはきれいなカレンが、きれいな顔立ちと鋭い切れ目でそんなことを言ってきた。

うう心臓に悪い。


「か、からかうな。 もう寝るぞ、今日は疲れた。」


俺は、ベッドへ倒れるようにダイブした。

そのベッドの柔らかさのあまり俺は、眠りへといざなわれていった。


課kk層お願いします、

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