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俺の現状と環境

~~次の日~~

桜火学園の学生寮にて


じりりりりりりりりりり


部屋に鳴り響く目覚ましの音に俺は飛び起きる。


「へいへい、今起きますよっと。」


俺は、快適な睡眠を妨害した目覚まし時計に恨むような眼を向けるが、自分が設定したアラームなだけに何も言えなかった。

俺はベッドから起き上がると、グーンと背伸びをする。

そして、大きなあくびを携えて、洗面台へと向かった。


「あー、今日はモーレツに学校行きたくないなー、まあいつもそうか。」


今日も学校に行くことに対する憂鬱さに頭をさいなまれていた。

俺の名前は、最上結城。桜火学園の一年生だ。田舎から大学の集中している学術研究都市、通称『ユートピア』に上京してきた。

『ユートピア』は魔法が今もっとも発展しているといわれている都市で、新たな魔法の分野である「科学」が発達している。


発達している…が、発達しているだけになじめないことばかりだ。


「よし、学校行くか。」


俺は、鑑で寝癖を確認すると、簡単な身支度だけを済ませて学生寮を飛び出した。

外に出ると魔法でうごく様々な様々な魔道具が動いている。


目の前にひろがる都会の景色を見ていると押しつぶされそうだ。


その景色といっても、みんな魔法の杖で飛んでいるわけでもなく、実際はそういうわけでもない。


昔は放棄で空を飛べたらしい魔法使いがたくさんいたが今では魔法に適性がある人間がすごく減ったため、車という空飛ぶ鉄の塊なんかもある。

いわゆる、魔法の代替だ。

なのでこの『ユートピア』は魔法が使えなくても変わらない暮らしを実現するために、魔術を研究しているというわけだ。

俺が田舎からこの都市に上京してきたとき、最初にこの都市の景色を見た時、腰を抜かして驚いたことが記憶に新しい。


本で読んだ、魔法ってやつが全否定されてるって感じがした、これが時代の流れなんだって痛感した…少し寂しいけど。


それでも魔法に憧れた俺は、ユートピアにある数少ない魔法学園である桜火学園入学したというわけだ。


そんなが憧れの学校になんで行きたくない気持ちがあるのかというと、いろいろなわけがあるのだが。


そんなこんなしているうちに、俺は学校についた。

俺は、今年の春に入学した新一年生である。

一年生には、一年生塔という特別な塔がある。この塔には、魔法使いとしての基礎的なトレーニングのすべてが詰まっている。


俺は、その塔の入り口の靴箱で靴を上履きに履き替えて、教室へと向かった。


俺は、いつも一番に教室に入る。

それには様々な理由がある、好きな女の子のリコーダーをなめるため…ではない、誰もいないことを口実に奇声を張り上げるため…ではない。


その理由は、至極簡単ものだ。


桜を見るためである、ひとりで。


この学園は桜火学園というだけあって、この学園は一本の大きな桜の木を取り囲むように建てられている。


その桜は、どういうからくり化はしれないが一年中枯れない、もちろん春になれば散るのだが、すぐ咲いて、次の春まで咲き続けるのだ。


この桜を朝いちばんに誰もいない教室で一人眺める、それが楽しくてたまらないのだ。


ところで俺のクラスのことを離そうと思う。

俺のクラスはというとCクラスだ。

この学園は魔法の適正でクラス分けをする。

上から順にABCである。


そして俺はその最低クラスのCだ。

しかし、そんなことは大したものじゃない、人には得手不得手がある、できる人とできない人を分けるのは教育効率上、大切なことである。

しかし、問題、もとい俺がこの学園に来たくなくなる原因といえば……


「お、学年ビリの劣等生じゃーん、今日も学園に来たんだー、でも来ても君の能力は成長しないんだし来なくていいんじゃなーい?」


これだこれこれ、今日も来たよ。


こいつは、いつも俺に侮辱するためだけにCクラスにやってくる、やってくる…名前は忘れた。

わかりやすく足音を鳴らして教室全体に誇示するかのように足を踏み鳴らして、いつもなら無視をするところだが……


俺には、その『学校に来なくていい』の一言が引っかかってしまっていた。


そうだ、俺はこの学校に来ている意味がない。

この学校は能力を伸ばすための機関のようなものだ。

だから能力の一切の才能がない俺はこの学校にいる意味はない。


俺は、俺はこの学園に入ったにもかかわらず、魔法に対する適正が一切ない劣等生なのである。


だから、俺はいたたまれないのである。

この学園に来る存在価値を見せつけられるようで。


学園に入ってからいまだに結果を出せない俺は、その現実を受け止めぜる負えない状況においつめられていた。

この学校で進級できず留年することになれば、俺は否が応でも故郷の村に帰らなければいけない。

それだけは何とか避けなければいけないのだ。

それだけは……


「………」


俺は言い返しても現実は変わらないことがわかっているので黙ってその場を立ち去った。


キーンコーンカーンコーン


そうしてその日の授業は一通り終了した。


感想よろしくお願いします!

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