敵のアジト戦 後編
「くそっ、これじゃ誰も近づけない。」
「近づけるやつが一人いるだろう。」
「カレン⁉ お前、俺にあれをやれってのか、さすがに無理があるぞ。」
その怪物が腕を振り上げ、振り下ろすだけで、大きな波がおきる。
俺は次から次に来る、その波の奔流を流れてくる船の残骸に飛び移ってやり過ごす。
舟の残骸が来なくても終わり。
その残骸に足を滑らせても終わり。
「か、帰ろう‼ 俺らも退散しよう。」
「なんじゃ、しっぽをまいて逃げるのか。」
また大きな波が来る。
「ああ、あれはでかすぎる。 俺たちの手には負えない。」
「では、誰がこの怪物と戦う。」
「強い人‼」
舟が飛んでくる。
死ぬぅ、これ死ぬやつぅぅぅ‼
「お前がやらなければ誰もめんどくさがって逃げるだけだ。」
「けど俺にはできない。」
「できる」
「できない」
「できる」
「できない」
「いや、できる」
ズバンッ‼
カレンは、刀のその身でありながらも、俺の体を操作し、飛んでくる船を叩ききった。
「君が望めばいい、私は炎の賢者だぞ。」
何が、賢者だ。
伝わってくる魔力が不安定になっている。
魔力量が少なくなっているんだろう。
そもそも俺に四六時中魔力を供給するなんて無理があったんだ。
夜には、睡眠をとらないといけない、少なくともこいつの魔力炉は。
ただの、一人の女の子じゃないか。
しかし一人に女の子は、俺の前で勇気を示している。
俺は、力がないと何もできない社会で、正しいことに力を使うようにする、なんて豪語したのに、いざとなってしり込みしてしまっている。
なさけないなぁ。
「カレン、ありがとう。 おかげで、少し落ち着いた。」
「ああ、やっぱりお前にはその顔つきのほうが似合うよ。」
「「正義の炎を燃え上がれ‼」」
俺の周りに炎がまとわりつく。
そうだ、何にもできなくて、どこにも居場所がなくて、でも、弱くても、それでも正義を、それでも正義を叫んでいたんた。
口先だけの、口裂けお化けに今こうして力を貸してくれるというやつがいる。
守れる人がいる。
なら俺は、俺の正義を突き進むしかないだろう。
「いくぜ、カレン‼ 片道切符でもついてきてくれるか?」
「ああ、それがどんな道であろうとも私は見たいものを見に行く。」
俺は数々の船の残骸に飛び移り、近づくとその腕に飛び乗った。
俺は、そのままその怪物の腕を走って、頭部に近寄ろうとする。
しかし、そいつから生えていた触手のようなものが三本、俺に向かって叩きつけるように襲い掛かってきた。
「カレン‼」
「ああ」
俺の体は呼応するように熱くなる。
「炎の剣技 二の型 輪入道‼」
そうして、触覚を瞬き間に切り飛ばした。
しかし、この邪魔のままでは本体までたどり着けない。
どうする
どうする
どうする
俺は、どうしたら一人であの怪物に勝てる?
「どうした。 正義の炎とやらがかすんでるわよ。」
後ろから弾丸のように飛んでくる。
「あ、茜」
「一人でできなさそうなことがあんなら私も混ぜろよな、あの日の決闘の続きまだ決まってないわよ。」
「ああ」
俺が攻撃されるときは、茜が俺を守り、茜が攻撃されたときには、俺が守る。
俺は、いつも一人で物事を考えていた。
目の前にあるものは、壊すことのできる壁か、超えることのできる壁か。
そうじゃない、誰かに頼る。
そういうやり方もあったはずだ。
「どうだ結城まだ無理だと思うか。」
カレンが問うてくる。
「いや、もう無理だなんて言わない、お前がいて仲間がいて、そして勇気があればどんな困難だって打ち砕いていける。」
「ああ、その通りだな。」
「結城ぃ、最後のでかいの決めてくれ‼」
「ああ」
「今度こそ「正義の炎が燃えてきた‼」」
「炎の剣技・太陽斬‼」
おらああああああああああああああ。
その炎黒刀には、まるで太陽ののような大きな炎がまとわりつき、まるで本当の太陽かのように『ユートピア』をてらした。
その太陽とその怪物が激突し、周りから見るとその場には強大な太陽が発生したかのようだった。
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