波乱の前触れ
初投稿です。
「あー、鑑、例の物はまだ来ないのか。 少し遅いぞ。」
暗い夜の廃墟ビルの中に、一つの豆電球にのみがその場を照らしていた。
少しいら立っているのか、そわそわしているのか、貧乏ゆすりが空間にこだまする。
「只今、部下からの連絡を待っているところです。 少しばかりお待ちをジョーカー様」
その問いかけに一人の小さな少女が答える。
そのジョーカーと呼ばれた男はその答えを聞いても、落ち着かない様子だった。
「待っているだけじゃだめだ、それじゃ不確定要素が大きい、お前が見に行ってこい。」
慌てる主人に少女は、ハァーっとため息をついた、頭が痛いのかこめかみを手元のペンでグリグリとした。
すると、連絡が来たのかその場を一度立ち去ると、足早に戻ってきた。
「いまほど、部下からの連絡がありました。 途中で襲撃にあい、撃退したところ、例の物を池に落としてしまったようです。」
「ちっ、すぐには探せないのか。」
「もう、夜も更けています。 今から川の底をさらうのは難しいかと。 魔の物が近づけないように川全体に結界を貼っておきます。 ああ、肌があれる。」
女は、早く帰りたいようでイライラしているようだ。
「まあ、とりあえずそれでいいか、アレは、魔の物はどうせ触ることすらできないからな。」
「じゃあ、今日はこれで解散だ。 ほかの連中にも一応伝えておいてくれ。」
「了解しました。」
二人の影は、闇の中に消えていく。
少し近くでは小さな家庭が家族だんらんを過ごしている些細な夜、そんな夜の中、太陽の下には出ない影がうごめいていた。
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