第99話
3人で地下1階からお店を回り始める。ショップは女子向けが多かった。
青空と華怜はかなり喜んでいるようで1軒、1軒じっくりとアイテムを見てまわる。2人が一緒だとどうしても、お姉ちゃんが妹にアドバイスするというような形で華怜の服を選ぶようなスタンスになる。
青空から見ても、華怜は細身で顔立ちも良く、マネキンとしては逸材だ。
地下1階をまわっているうちに、2人とも気に入ったアクセサリーを見つけて購入していた。地下1階の池袋駅方面には何軒か食べ物屋が密集しているエリアがあり、そこへ行って中華を食べることにした。2人の買い物に付き合っていた湊の提案だ。
青空はラーメンを、華怜は中華丼を、湊はエビチリ定食を注文した。
「だいぶ歩いたんじゃないか?」
「そうかな?1時間ちょっと?だよ、湊」
「うんうん、それくらいだよ」
「この後どうする?」
「うーん、1階のお店もちょっと見たいかも、湊」
「あー、まあそうだな」
「そのあと、カラオケでも行こうか?湊」
「おう、そうだな、行こう!」
「お兄ちゃん、けっこう歌うまいよね」
「そうかな?普通のような?」
「湊はうまいと思うよ」
「そっか、ありがとう」
話している間に注文が来た。
3人で同時に食べ始める。幸せな時間だった。定期テストが終わり夏休み間近。今日は予備校もない。晴れ晴れとした気分だった。
30分くらいで食べ終えて、さっきの続きとばかりに1階のお店へ向かう。
何店舗あるのか数えたことはないが、相当な数のショップが並んでいる。行きかう客の数もかなりいる。
また、一軒ずつ、念入りにまわりはじめる。女子2人にとってはなによりのご褒美なのかもしれない。お互いにトップスをあてがっては、これが似合う、などと言い合っている。
たまに、湊に聞かれるが、湊の趣味と女子の趣味は微妙に違うらしい。青空も華怜も湊が好きだと言ってくれる服を買いたいが、自分たちの好みの服は欲しいといった感じであった。
1階のショップもあらかた見終わって、サンシャインを後にして、カラオケ店へ向かう。
3人でカラオケに行くのはいつ以来だろうと思った。




