第94話
「だよねえ、お兄ちゃん」
「はいはい、私が悪うございました」
「いや、謝られちゃうと、俺が悪いというか・・・」
「だね、お姉ちゃん、静かに食べるから」
落ち着いたところで、食べ始める3人。セットを頼んだのは湊だけで、青空と華怜はドリンクとポテトだけを頼んでいた。
30分くらいかけて食べ終わるとちょうど予備校の授業が始まる時間だった。
それぞれの教室へ向かう。華怜もコース変更前なので、まだ私大文系コースだ。
予備校の授業はいつも面白い。講師は、高校生では考えつかないような視点で問題を解説していく。湊も青空も丁寧にノートへと記入していく。テキストも優秀なので、テキストだけでも、予備校に通っている意味があるみたいだ。
3時間の授業はあっという間に終わり、3人は1階ロビーで集合する。
歩くと30分くらいかかりそうだが、もう、明日の勉強もほとんど終わっている3人は徒歩を選んだ。
池袋から滝野川へと続く明治通りは夜10時を回っていても、灯りに困ることはない。3人一緒なら、変な人にも絡まれにくいだろう。
ひたすら、明治通り沿いを歩く。会社帰りの会社員もけっこういて、ランニングしている人たちもすれ違う。日本の治安の良さというのは、少なくともこの地域に住んでいると実感として感じられる。
西巣鴨駅を通り過ぎると、もうすぐに冨永家だ。
家に着いた3人はとりあえず、部屋着に着替えるために、それぞれの部屋に戻った。
湊は、いつも通りTシャツと短パンになり、すぐにシャワーを浴びに行く。
15分くらいで戻ると、青空と華怜がパジャマ姿で部屋に座っていた。
お風呂を促すと、二人で向かう。
また1時間コースだと思い、明日のテスト範囲をカードで見直す。
1時間のうちに4回見直すことができた。
青空と華怜がお風呂から出てくる。美少女と美少女だ、と本当に思えた。
すでに夜の11時半を回っている。
「私は30分勉強して帰るね」
「あ、うん、了解だよ、青空」
「お姉ちゃんは帰っちゃうのかあ」
「愛しているからね、華怜」
「そうだよね、私たちは愛し合っているよね、お姉ちゃん」
「レズ、レズしてないで勉強はじめないとじゃないか?」
「あ、うん」
「少しだけやろう、お姉ちゃん」




