第87話
時間になると午前中と同じ配置になって勉強を再開する。
BGMはピアノ曲がいいということになり、3時間くらいある長い動画を選曲して再生する。雨の音が混じる、静かな曲が流れる。
とりあえず、5時まで3時間半と時間を決めた。
湊はまずはカードをめくる。表、裏をじっくり眺める。ほとんど記憶の漏れはなさそうだ。月曜日試験範囲全てのカードを見終わるのに、最初は1時間くらいかかったが、2周目は45分くらいで見終わった。3週目、4週目と進むに連れて時間は短縮できている。
調子がいい、3時間半はあっという間に過ぎてしまった。青空と華怜も同じように調子がいいみたいだ。
5時になると、とりあえず1時間休憩しようということになった。
「今日は俺がコンビニ行くよ、なにか欲しい物ある?」
「お兄ちゃん優しい!そうしたら、ゼリー買ってきて、味はなんでもいいよ」
「ほい、了解、青空は?」
「うーん、そうしたら、サンドイッチ買ってきて、ハムのやつで」
「分かった、買ってくるよ」
湊はコンビニまで歩く。雨は既に止んでいるようだ。
まずは、青空と華怜の注文から、と、かごに入れ、自分の分は少年漫画とサラダをかごに入れた。
レジへ持っていき、現金で支払う。
エコバッグの代わりにリュックを持ってきていたので、それに品物を入れる。
曇り空ではあるが、雨は今日降りそうになかった。
「おかえり、お兄ちゃん」
「おう、ただいまー」
「ありがとうね、湊」
「どういたしまして」
買ってきた物をそれぞれに分けて、テーブルの上で食べ始める。
「お兄ちゃんは買い物のセンスあるよねー」
「え?そうか」
「うん、私が欲しい物、ほとんど100パーセントの確率で買ってくるよ」
「そう言われると悪い気はしないな」
「そう言われたら、そうかも、湊のチョイスはなかなかいいよね」
「まあ、二人とも長い付き合いだし」
「お兄ちゃん、読み終わったら、その漫画読ませてね」
「ああ、いいよ、読ませてあげよう」
「やった、ありがとうね、お兄ちゃん」




