第86話
時計を見ると9時30分だった。
「とりあえず、12時30分まで3時間やろう、月曜日は予備校あるし、火曜日の勉強も今日中にやろう」
「はーい、湊」
「了解だよ、お兄ちゃん」
華怜はいつものようにベッドにダイビングして、横になって勉強を始めた。
湊と青空はテーブルに向かい合って座る、定位置だ。
朝のBGMは女性ボーカルのカバー曲をかける。優しい歌声が部屋の中に満ちていく。
湊は火曜日の試験の分のカードを作るところから始めた。火曜日は2教科しかないので、カードも25枚くらいで収まった。
既に22枚はできていたので、残り3枚を丁寧に作っていく。
色を使い分けて書き上げていく。3枚作るのに1時間ほどかかった。
このカードは今日の夜と明日やることにして、昨日仕上げた月曜日の試験範囲を見直していく。
何回か見直すうちに、書き漏れている個所があり、教科書を見ながら書き足して行く。
今日は、青空や華怜の方を見ることもなく集中してできていた。
12時30分になった。休憩にしようとなり、お昼ご飯を食べに1階へ降りる。
両親は出かけているらしく、食卓には3人分のお昼が用意されていた。
青空が温めなおしてくれて3人で食べる。
「パパとママはけっこう仲良しだよねえ」
「あー、そう言えばそうだな、多分母さんがいい人だからじゃないかな?」
「そうだね、お母さんはいい人だよね、湊はああいう人がいいの?」
「どうかな?まあ、ああいう人はあまりいない感じがするな」
「シスコンだけじゃなくて、マザコン?なの、湊」
「え?いや、そんなことないよ、だ、大丈夫だ」
「えー、ほんと?」
「ほんとほんと!青空だけだよ」
「怪しいんだから」
「お兄ちゃんは、色んな人のいい所がちゃんとわかる人なんだよね」
「あ、華怜いいこと言った、そう、それなんだよ」
「そういうことにしておくよ、湊」
「そろそろ上に上がろうか」
「はーい」
3人は湊の部屋に戻った。食後ですぐに集中できないということで、1時30分までは休憩ということになった。
スマホで配信を観たり、動画を観たり、ファッションサイトを調べたりしていた。




