第84話
「おかえりなさい、お兄ちゃん、今日は早いね」
「あ、まあこの雨だからな」
「これも神様の仕業なの?」
「さあ、どうなんだろうな、天気くらいは適当にプログラム組んだら、勝手に決められているのかもしれない」
「プログラム?」
「そうだね、地球とか太陽とか銀河系とか、そういった天体がプログラムと呼べればだけど」
「うーん、なんか強引かも?」
「まあ、そうなのかな?21世紀の文明に影響されすぎた考えなのかもしれない」
「とりあえず、雨が大変なのは神様の責任じゃないのは分かったよ」
「そうだな、多分そう、かな」
「もーお兄ちゃん、考えすぎ、うつになるよ」
「ああ、寝ようか」
「うん、こっちきて」華怜がベッドの上から、湊を呼ぶ。
「華怜」
「うん?」
「ちょっとだけ疲れちゃったかな」
「お兄ちゃん、珍しいね、いい子だよ」そう言って頭をなでてあげる。
「ああ、なんか、恥ずかしいな」
「いい子だから、ね」
「ああ、なんかほっとするな」
「お兄ちゃん」そう言って湊のくちびるに軽くキスをする。
「ああ」
「寝るまで起きていてあげようか?」
「いや、いいよ、一緒に寝よう」
「うん」それでも湊の頭をなでるのをやめない。
湊は目をつぶって10分くらい寝付けなかったが、やがて深い眠りに引き込まれていった。
7月19日の日曜日は昨日から引き続いて雨だった。
「華怜、おはよう」
「ん、ああ、お兄ちゃん」すぐにキスをしてくる。
「あ、ああ、元気だな」
「うん、お兄ちゃんがかわいいから」
「そう言うなよ、ちょっとというか、だいぶ恥ずかしいから」




