第83話
「まあ、勝利のアイスを食べようじゃないか、妹よ」
「そうだね、食べよう、お兄ちゃん」
「なんかムカツク兄妹だわね」
「青空も食べていいよー」
「食べるわよ、もう、アプリに仕掛けとかしてない?」
「そんなことできるわけないだろー」
「湊ならやりかねないかなって」
「できないから」
「お兄ちゃんならやりかねないよー」
「だよね、華怜」
「無理だ」
「労力なしで食べるアイスは美味しいねえ、お兄ちゃん」
「ああ、そうだな、華怜、人の汗で食べるアイスは美味しいな」
「こらこら、将来大丈夫なのか?私のだんなさんは」
「俺は経営者とかは無理だから、コツコツ働くよ、安心して、未来のお嫁さん」
「うん、マメなのは知っているよ、ほんとにさ」
「お兄ちゃんとお姉ちゃんがのろけているのだ」
「たまには、のろけるぞ、華怜」
「素晴らしいのだ、お兄ちゃん、お姉ちゃん」
「いつもは湊と華怜がイチャイチャしてるからねー、たまには私も」
その後12時までは、それぞれ好きなことをやっていた。湊は動画を色々と渡り歩いて観ていたし、華怜はどこから持ってきたのか絵本を見ていた。青空は通販サイトを見て色々と考えているようだった。
「そろそろ帰らなきゃ」青空が切り出した。時間も12時を少し回っていた。
「送っていくよ」
「あ、ありがとう」
「いってらっしゃい」
玄関から外へ出ると豪雨だった。
「これは、いつものところ、いれないか」
「うん、そうだね、湊」
傘をさしても、ずぶ濡れになりそうなほど降っていた。
一つの傘に二人で入って、柳瀬家へ送る。
「じゃあ、今日は、おやすみなさい、青空」
「うん、おやすみなさい、湊」
優しくキスをして二人は別れる。




