第82話
エイっと華怜がおばさんを選ぶ。
セーフだ。
「やったあ!なんかさ、ここまで来るとお姉ちゃんの次が当たり?な気がするよね」
「それは当たりじゃなくて外れだよ、華怜、でもほんと、私が引いちゃうような気がする」
青空はじっくりおばさんを見る、残り5つ。どれも外れのような気がする。確率論の世界のはずなのに、嫌な予感しかしない。
湊、華怜兄妹からは、嫌なプレッシャーがかかる。これ以上考えてもだめ、と割り切って、おばさんをタップする。
変な効果音がして、おばさんが怒っていた。外れだ。
「あー!えー!」びっくりする青空。
「あーあ、青空がひいたかー」
「お姉ちゃん、引くと思っていたよ」
「ああ、私ほんとにこういうの苦手」
「まー行ってらっしゃい!青空」
「はーい、行ってくるよ、湊、上着貸してね」
「あ、うん、いいよー」
青空は、湊のジャケットを羽織ってコンビニへ行く。
コンビニまでは歩いてすぐだ。夏の夜特有のむっとした暑さの中コンビニへ向かう。
着くと、まずは雑誌コーナーに行って、雑誌をペラペラとめくる。
私ってホントに運がないよなあ、などと考えながらアイスコーナーへ。
めんどうくさいので全部同じカップのバニラアイスをかごに入れて、レジへ持っていく。
レジでキャッシュレス決済を済ませて、家に帰る。
「ただいまー」
「おかえり、青空、ちょっと遅いから心配したぞ」
「うーん、ちょっと立ち読み」
「お兄ちゃんけっこう心配していたよ、コンビニまで行こうとしていたんだから」
「子どもじゃないんだから、大丈夫だよ、湊」
「子どもじゃないから、危ないんじゃないか、青空は美人だし」
「心配してくれるのはありがとうね」
「まあ、うちの姫は二人とも自分が美少女って思っていないところが魅力なんだけど」
「そう?華怜は美少女だと思うけど」
「お姉ちゃんこそ美少女戦士だよ」
「戦士はいらないよ、華怜」




