第80話
湊は15分でシャワーを浴びて部屋に戻る。
お兄ちゃんいい匂いする、と華怜がまとわりついてくる。
「二人とも風呂行ってきなよ」
「あ、うん、華怜行こう」
「はーい、お姉ちゃん」
二人仲良くお風呂へ向かった。
また1時間コースかとスマホをいじる。動画を観るがあまり面白い物はなさそうだった。ニュースサイトを観る。色々な記事が目に飛び込んでくる。気になったニュースを色々と検索してみる。なんだか、自分の住んでいる世界とは全く違うところで起きている事のように思えた。
湊は来年の10月になれば18歳になる、結婚もできるし、選挙権も付与される。青空と結婚したいと言えば、両家の親たちはなんの抵抗もなく認めるのかもしれない。華怜も多分反対はしないだろう。もちろん、高校生で結婚するつもりはないが。
俺と華怜が一緒になるなんてあるのだろうか?兄妹の結婚は法的に認められない。事実婚ということであればいいのだろうが、現実的じゃない。ただ、もし、ずっと華怜を見ていたいとなったら、そういうことも可能なのだろうか。でも、それは、俺にとっても華怜にとってもいい将来とは言えない気がする。華怜を海汰兄ちゃんのようなきちんとした男の人と結ばれるように導いてやるのが俺の役割なのかと思う。でも、もし、華怜の感情がそれを許さないとしたら、どうするだろうか。すぐには出ない答えを考えているうちに、青空と華怜が戻ってきた。二人ともパジャマ姿になっている。
「おかえり」
「ただいま、湊、なにか難しいことでも考えていた?」
「いや、まあ、色々と」
「そっか、好きだからね、そういうの」
「お兄ちゃん、難しいことを考えるときは、私も一緒に考えるよ」
「あ、ああ」
「何を考えていたの?お兄ちゃん」
「いや、話すほどのことじゃない」
「そうなんだ?いやらしいことじゃないの?」
「ばーか、そんなんじゃないよ」
「今日は、もう休みでいいよな?二人とも」
「あ、うん、いいよ、明日もあるし」
「はーい、私もいいよ、お兄ちゃん」
「青空は今日も帰るのか?」
「うん、12時には帰るよ、おにいも帰ってくるだろうし」
「了解、あと3時間かあ」




