第75話
「おかえり、お兄ちゃん」
「ああ、ただいま」
「キスはおいしかった?」
「美味しいというのか?」
「言うよー!」
「まあ、美味しかったかな」
「ね、ベッド入ってよー」
「あ、うん、今日はちょっと寝たからな、華怜は眠い?」そう言いながら華怜の横にもぐりこむ。
「んー、少しだけ眠いかな?」
「俺は微妙だなー、寝ろと言われれば眠れるような」
「お兄ちゃん」そう言って湊の胸元に顔を押し付ける。
「なんだ?華怜甘えん坊だな」
「いい匂いする、お兄ちゃんとお姉ちゃんの匂いが混ざっている感じ」
「そっか」
「うん、ねえ、キスして」
「あ、ああ」すぐ目の前にある華怜のくちびるに優しくキスをする。
「なんか眠くなってくるんだよね、お兄ちゃんにキスされると」
「寝るか?」
「ね、いい子いい子して」
「ああ、分かった」華怜の髪の毛をなでてやる。
「眠くなってきたよ、お兄ちゃん、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
華怜は湊に顔をうずめながら眠ってしまった。湊はどうも寝付けない。
スマホをいじろうにも、華怜がくっついてきて体勢的に無理だった。
しょうがないから、華怜の髪の毛をなでてやる。
多分、3人が望む世界がここにあって、柳瀬家も冨永家も今の3人を認めていてくれて。今はどうしようもないくらい幸せで、将来のことは分からないけれど、生まれてからずっと、こんな幸せが続いている。
湊はたまに不安になる。青空と華怜と自分世間から見たらどうなんだろうか?やっぱり異常なのか?それでも、なにか悪いことをしているわけではない。
高校を卒業して、それぞれ大学に進学してもこうなのだろうか?自分と青空だっていつまでも付き合っていられるのか、華怜は美少女だし、今でも告白されることは多い。大学に行けばもっと多くなるだろう。
それでも、今はこれでいいのか、そう思って目の前にいる華怜に視線を戻す。幸せそうに眠っている。ほほをぷにぷに指でつついてみる。




