第60話
青空と華怜はドリンクのみでいいということで、食事をしたのは湊だけだった。
湊のポテトをLサイズにして、青空と華怜がつまんで食べた。
食事を終えると、予備校の自習室へ行き、明日のテスト勉強をする。
6時から予備校の授業が始まり、9時45分に終わる。3人とも勉強漬けの一日で少し疲れた様子だ。
「一日終わったなあ」
「ほんとにね、今日長かった気がするよ、湊」
華怜は猫のように伸びをしている。
雨が降っているので、今日もバスで帰ろうということになりバス停へ向かう。
いつもの都バスに乗って滝野川方面へ。雨雲がすこしゴロゴロと鳴って、華怜が怯えたように湊にくっつく。大丈夫、と肩を抱きしめる。
バス停に着くと、華怜が湊を引っ張る、早く帰ろうとのことらしい。他の二人もつられて、足早に帰りを急ぐ。
家に着くとまず、華怜が安心する。ちょっと目を潤ませているようだ。湊と青空が頭をポンポンと叩いてあげる。
着替えに行くということで、3人はそれぞれの部屋に移動する。
湊はいつものようにTシャツと短パンに着替える。そのまま、シャワーを浴びるためにお風呂へ。
雨で濡れた体にシャワーは気持ちいい。少しゆっくり浴びる。
2階の部屋に上がると、既にパジャマに着替えた青空と華怜が勉強をしていた。
風呂入ってきなよと促すと、二人でお風呂へ向かった。
湊は明日のテスト教科を取り出す。明日は3教科の試験があった。3教科ともほとんど勉強は終わっているが、暗記科目については今日やるのは効果的だった。
一人でカリカリ勉強をしていると、二人がお風呂から上がってきた。
部屋の中に女の子らしい香が充満する。
華怜はいつも通りベッドへ行き、青空は湊の正面に座って勉強を始める。
夜12時くらいに珍しくお父さんが勉強の様子を見に来た。頑張っているな、と少し喜んでいるようで、1.5リットルのコーラとたこ焼きを置いて行った。
コーラとたこ焼きって微妙な組み合わせじゃない?と言いつつみんなでもぐもぐ食べる。
今日は3時まで勉強しようということになり、3人は集中できていた。お兄ちゃんコーラ取って、などとたまに華怜が話しかけてくるが、基本的に無言だ。BGMの音だけが部屋の中に流れる。
ほとんど終わったかなと、時計を見ると2時50分だった。他の二人を見ると、どうやら終わっているらしい。このくらいにするかと聞くと、同意されたので、前日の勉強はここまでにした。




