第6話
「あー疲れたぁ」湊の第一声だった。
「湊は、もう少し体力つけたら?筋トレとか」
「そうだよ、お兄ちゃん、お姫様抱っこしてね」
「え?華怜、重くね?」
「ひどい!!全然重くないからね!」華怜はどちらかと言えば細身の体型であった。
「そうなのか、女子の体重は良く分からないけど」そう言って青空の方を見る。
「ちょ、湊、私が重いとか思ってない??私は標準なの!標準!」
「何も言ってないぞ、まあ、青空はナイスバディというか、男が好きそうな体だよな」
「もうちょっとデリカシーのある言い方できないの?ほめているようには聞こえないんだけど」
「だいぶほめているつもりだよ、青空」
「ほんとー?まあ、いいわ」
食べ終わった後は、勉強もしたいからと、滝野川に戻ることにした。帰りながら3人の誰の部屋で勉強しようかとなったが、やはり湊の部屋が一番落ち着くということで湊の部屋に行くことに決めた。
池袋から明治通り沿いに歩いて25分で冨永家に着いた。まだ両親ともに仕事から帰ってきていない。そもそも、どちらの親も湊たちは3人でいるだろうと、何時になっても心配することもなかった。
とりあえず、着替えるからと青空と華怜はいったん自分の部屋に戻った。湊も制服を脱いでTシャツに短パンといった格好になった。雨は降らなかったが蒸し暑い一日だった。
青空と華怜はおそろいのキャミソールにショートパンツに着替えた。色は青空が青で華怜はピンクだ。なにか、2人とも自分のイメージカラーにはこだわっているらしい。
少し汗をかいたのか、2人の体からいい匂いが漂ってくる、女子の匂いってなんでこんなにいいのだろう、などと湊は考えていた。
「さあ、勉強しよ、天才と違って俺たちは努力しないとまともな点数取れないから」
「なに?嫌味ですか?お兄ちゃん」
「そういうわけじゃないけどさ、まあ凡人のひがみってやつだよ」
「そー?見た物を記憶するだけじゃない」
「お前はAIか?」
「そういうわけじゃないけどさ、あ、教科書忘れた、取ってくるね」
「教科書忘れて勉強にならんだろ、ばか、まあ、お前にはいらないのかもしれないけどな」
「ゆっくり取ってきてあげるから、お姉ちゃんとイチャイチャしていていいよ」
「わーかった、ゆっくり取ってこい」
「はーい」