第58話
「私雷嫌い、なんで、あんな風に光ったり、音出したり、なんで」
「華怜、落ち着いて」ぎゅっと抱きしめる。
「お兄ちゃん、好きよ」
「ああ、好きだぞ、華怜」
「うん、」
「少し、深呼吸して、そう、ゆっくり、大きくだ」
「うん」
「いいな、少しずつ、そう、ゆっくり」
「うん」
「落ち着いてきたか?」
「ん、お兄ちゃんは魔法使いなの?」
「そんなことはないよ、特別なことはなにも」
「うそだ、雷だってお兄ちゃんがやっているんじゃないの?」
「ほんとはそうかもしれないな」
「ほら、やっぱり、お兄ちゃんは魔法使いだ」
「じゃあ、華怜姫が眠れる魔法をかけてあげようか?」
「ん、して」華怜は目をつぶってくちびるを突き出す。
「ああ」華怜のくちびるに軽くキスをする。
「ほんとに眠くなってきたよ、お兄ちゃん」
「ああ、もう3時前だ、寝よう」
「うん、おやすみなさい」
「おやすみ」
7月15日の水曜日は朝から小雨がぱらついていた。
「華怜、起きろ」
「ん?ああ、ね、ちゅうして」
「ああ、」軽くキスをしてあげる。
「おはよう、お兄ちゃん」
「おはよ」
華怜がパジャマを脱ぐと形の良い胸が目の前に現れる。
「もしかして、この状態でお兄ちゃんとくっつくといやらしいかな?」
「なにをばかなことを言っているんだ、さっさと着替えて来い」
「はーい」小走りに走っていく。
華怜と入れ替わるように制服姿の青空が入ってくる。
「おはよう、湊」
「ん、おはよう、青空」




