第57話
ドーンという音が聞こえる。かなり大きな音だ。近くに雷が落ちたらしく、一瞬停電する。
それまで、ベッドにいたはずの華怜が湊の横に来ている。雷は苦手だ。青空も不安そうに外を見ている。
「大丈夫だよ、な」そう言って華怜の頭をなでてあげる。
華怜が怯えているので、15分くらい勉強は中断した。雷が遠ざかったのを認識したのか、華怜はだんだんと落ち着きを取り戻す。
時間は夜中の1時半だ。
そこから、また30分勉強して解散となる。
「青空、送っていくよ」
「あ、うん、ありがとう」
「お兄ちゃん、なるべく早く帰って来てね」華怜はまだ動揺しているようだ。
「ああ、分かった」
雷の後だったが、雨はだいぶ小降りになっていた。湊と青空は柳瀬家の玄関先に移動していた。
「青空」そう言って青空のくちびるに濃厚なキスをする。
「湊」湊のキスを受け入れて、それに応じる青空。
「今日は、早く帰らないと」
「あ、うん、そっか」
「大好きだよ、青空」
「ん、私も、大好きだよ、湊」
「じゃあ、また、明日だね」
「うん、湊、また明日」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
湊は青空の部屋に灯りがつくまで玄関先にいて、それを見届けてから部屋に戻った。
「お兄ちゃん、遅い」
「あ、ごめん、早めに切り上げたつもりだったんだけど」
「私が雷苦手なの知っているでしょ」
「ああ、ごめんな」
「こっち来て」
湊は華怜が寝ているベッドに入る。
華怜が湊に抱き着いてくるが、体が小刻みに震えている。
「大丈夫だよ、華怜」