第56話
「それは冗談だけど、華怜が医者になることで、救える命もあると思う、どうせ受験するなら一番いいところに行くべきだろう」
「うーん、お兄ちゃんたちと一緒に文雄行きたかったなあ」
「大学行けば時間はバラバラになるだろうし、華怜の将来が優先だよ、目指せ、お兄ちゃんからの命令だ」
「はーい、そっかぁ・・・夏休みになったら色々と準備しようかな」
「華怜、私も応援しているからね」
「あ、うん、お姉ちゃんありがとう」
「よし、じゃあ、もう少し頑張ろう」
3人はまた、期末テストへ向けた勉強を再開した。予備校がないときいつも夕ご飯は軽食だった。お母さんもお父さんも平日は帰りが遅い。勉強をしながらサンドイッチをつまんでいた。
さらに2時間勉強をして夜の9時になると湊から先にお風呂へと入り始めた。
15分くらいでシャワーを浴び出てくると、青空と華怜と交代する。
二人はまた1時間コースかと、湊は部屋を片付け、先に勉強を始める。
少し、調子が乗ってきたと思ったくらいに二人は戻ってきた。
「あーさっぱりしたよ、湊」青空と華怜はパジャマに着替えている。
「だね、お姉ちゃん」
「今日も2時くらいまでやろうか?」
「だね、湊、授業中はなんだか集中できていないみたいだし」
「そうか?まあ、そうかな、なんとなくね」
「だめだよ、お兄ちゃん、お姉ちゃんばっかり見ているんでしょ?」
「え?まあ、ちょっとは、そうなのかな?」
「ああ、もう、人には勉強頑張れっていうのに」
「いや、勉強は頑張っているから」
「どーだか」
「まあ、それはそれとして、勉強しよ」
「はーい」
夜11時くらいになるとお母さんが勉強を覗きに来た。みんな頑張っているのを見て、夜食にとスイーツとアイスコーヒーを置いて行った。
3人で少し休憩して夜食を食べる。夜こんなの食べたら太るよ、と女子二人は言いながらも完食する。
タブレットに接続しているブルートゥーススピーカーからBGMが流れる。3人は食べた分のエネルギーを勉強に変換しているように集中できている。
夜になると集中力が増すのか、勉強がはかどる。外の雨は少し激しくなっているらしい。




