第5話
女子トイレでは、青空と華怜が並んで化粧をしていた。
「華怜、おにいとはどうなの?」
「海汰ちゃんかあ、最近週に1回くらいしかデートできないんだよね、って知っているか」
「おにいは凝り性だから、なんだかアルバイトの方頑張っているんだよね、帰りも夜遅くなっているし、新宿のなんとかっていうバーで働いてるけどさ、毎日3時とかだよ?もう、少しは心配になるよ」
「お姉ちゃん優しいね、気にしないで寝ていればいいのに」
「でも、そういう所だったら、出会いとかあるんじゃないかって心配にならない?」
「うーん、少しは?でも、多分海汰ちゃんは何もしないよ、だって、一日一緒にいても私にキスもしないんだよ?」
「え???そうなの?おにいは女の子に興味ないのかな?」
「そんなこともないと思うけど、それとも私に魅力がないのかなぁ」
「華怜は十分魅力的だから!それは大丈夫!」
「かなあ、お兄ちゃんのほうが反応が面白いけどね」
「あいつは変態だから、気をつけなきゃだめよ」
「え、でも、もう色々としちゃってたり」
「ちょっと、華怜、どこまでしたの?お姉ちゃんに正直に話しなさい」
「ここじゃ言えないよ、お姉ちゃん」
「華怜!ちょっと私だって、つい最近なのに」
「お兄ちゃんの初めては私だったかもね~♪」
「華怜―!」言って、華怜のほっぺをつねる。
「いふぁいいふぁい、いたいよ」
「もう、でも、華怜だから、いいか」
「いいのです、お姉さま」
「良くない気がするけど・・・」
「それより、多分待たせすぎだよ、お兄ちゃん首がキリンさんになっているよ」
「ああ、そうね、そろそろ行こうか」
2人がトイレから出て周りを見渡すと、50メートル先くらいに湊がいてTシャツを物色している。青空が湊を呼び振り返る。湊が手を上げて、合流した。
地下に行く前に1階で軽くウインドウショッピングをする。女子2人はまるでほんとの姉妹のように、お互いにこれが似合うんじゃないかなどと言いながらトップスを相手にあてがっている。
1階にもたくさんのお店があり、それだけで1時間ほどかかってしまい、ようやく地下のかき氷が食べられるお店まで3人はたどり着いた。