第47話
ドアがすっと開いて華怜が入ってくる。
「おはよう、華怜」
「おはよ、お姉ちゃん」
「華怜、美少女が台無しだぞ?」
「しょうがないじゃん、お兄ちゃん」華怜は泣きはらして、腫れている目を隠す。
「とにかくご飯にしよ、遅れちゃうよ」
3人で食卓へ向かう。
朝食はご飯ときんぴらごぼうと明太子、それに漬物だった。
お母さんは毎日大変だと思いながら3人は食べ終わる。
ご飯を食べながら少しずつ華怜も調子を取り戻してきたようだ。湊と青空がアイコンタクトを送る。
「さあ、今日も行くぞ、華怜、青空」
「行こう、お兄ちゃん」
「そうね、湊」
「ああ、そういえばすっかり忘れていたけど、今週の木曜日から試験だよな」
「あー、そういえばお兄ちゃん、相談したいことがあって」
「歩きながらでいいか?」
「うん」
3人は高校へ向けて歩き出す。
「なんだ、話したいことって」
「私の進路なんだけど、海汰ちゃんが東大に行けって」
「え?華怜、そんな大事なことは、帰ってからだ、っていうか今日は予備校だから、火曜日だな」
「はーい」
「華怜なら、東大だって合格するよ」
「ありがとう、お姉ちゃん」
「まあ、な、受ければ受かりそうだな」
明治通りを越えて、大塚方面へと歩く3人。途中雨が少し強く降ってくるが折り畳み傘を出さずに、濡れながら歩いていた。
やみそうでやまない雨にいらだちながらも、高校へとたどり着いた。
「なんか嫌な雨だったな」
「そうだね、お兄ちゃん」
「じゃあ、またお昼な、華怜」
「うん、お昼ね、お兄ちゃん、お姉ちゃん」
湊と青空はいつものように華怜が1-Aに入るのを見届けてから自分たちのクラスへ向かう。




