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2pair=4pair?  作者: 神名 信
44/132

第44話

 地下駐車場から出庫し、滝野川方面へ向かう。

 BMWはかなりの加速で坂道を登っていく。

 ・・・え?私泣いているの?なんで?

 華怜の両目から、涙がこぼれ落ちていた。海汰がそっとハンカチを差し出す。

 二人とも、何も言わなかった。車内には午前中と同じようにJPOPの曲が流れている。

 そのまま、20分走り、冨永家の前についた。

 「着いたよ、華怜ちゃん」

 「あ、うん」華怜の目はまだ真っ赤だ。

 車のドアを開けて、二人で玄関へ向かう。華怜の両親が出迎えてくれて、華怜は大変な子でしょう?付き合ってくれてありがとうね、などと言ってくる。

 車、邪魔になると思うので、動かして、そのまま返してきますと伝えて、海汰はBMWで走り去った。


 華怜は湊の部屋になんとなく行く気になれず、自室に戻った。

 部屋を真っ暗にして、スマホからお気に入りのロックを大音量で聴く。1時間くらいそうしていただろうか、部屋のドアが開いて湊が入ってきた。

 「華怜、こっちに来なよ、青空も心配しているよ」

 「お兄ちゃん」言って湊に抱き着いて大声をあげて泣く。

 「どうした?」

 「ううん、私、悪い子だよ、海汰ちゃんに全部言わせて、自分の思い通りに、海汰ちゃん、多分苦しかったと思う」

 「ああ、そうか」

 「ねえ、ねえ・・・」

 「うん、うん」

 「ねえ・・・」もう言葉にならなかった。嗚咽だけが部屋に響いていた。

 華怜の髪の毛をなでて、ただじっとする。

 「お兄ちゃん、キスして」

 「ああ」華怜のくちびるにキスをする。いつもより少しだけ長い間くちびるが重なり合う。

 「今日はお姉ちゃんに会いたくない、なんとなく」

 「そうなのか?」

 「うん、お兄ちゃん戻っていいよ」

 「華怜は大丈夫なのか?」

 「私は一晩寝たら大丈夫だよ、今日は海汰ちゃん帰らないらしいから、お姉ちゃん泊まって行くよ」

 「そうか、いつでも俺の部屋に来ていいからな、華怜」

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