第4話
お昼休みも終わり、また華怜が寂しそうな顔をするが、頭をなでてあげて教室に向かわせる。
「湊はほんとに、華怜に優しいんだから」
「そうか?青空の頭もなでてあげようか?」
「けっこうですぅ」
「なんだ、やきもちか?」
「そんなんじゃないわよ」授業が始まる前の数分で二人はそんな話をしていた。
午後の授業はお昼を食べてすぐだからかなり眠い。そんな中でも、2人は集中力を切らさずに授業を真面目に聞いていた。
同じ頃、華怜は机に伏せて熟睡していた。華怜は瞬間記憶とでもいうべき能力があり、1度目にしたものは絶対に忘れない。教科書に載っているようなことであれば、パラパラとめくるだけで全て暗記が終わってしまう。
火曜日は華怜のクラス、1-Aは午後の3時間が全て英語という嫌がらせのような時間割だが、華怜は寝ながらタブレットをいじり授業に参加していた。
午後の授業も終わって、3人はまた集結した。3人とも部活は入っておらず、予備校も今のところは月水金だったので、火曜日はゆっくりできる。
歩いて池袋にでも行こうかという話になった。朝と同じように湊の左側に華怜、右側に青空がいる。華怜の右手は相変わらず湊の左手と恋人つなぎをしていた。
「サンシャインまで行こうか?青空、華怜」
「うーん、あそこの地下でちょっとお店をまわるのもいいかもね」
「お姉ちゃん、あそこの地下だったら今ならかき氷食べられるよ、マックの手前にあるやつ」
「いいかもね、今日も蒸し暑いよね」
「よっし、じゃあサンシャイン向けて歩きますか」
大塚から池袋のサンシャイン方面へ抜ける道は地元の人でないと少しわかりにくかった。勉強については天才の華怜だが、道に関してはさっぱりで、いつも湊に手を引っ張ってもらっている。ほぼ生まれてこの方ずっとと言っていいだろう。サンシャインへ抜ける道も少し油断すると華怜が脱線するので、湊がきちんと手を引っ張ってあげる。
20分ほどそうして歩くと巨大なビルが目の前に現れた。サンシャインである。
地下に降りていくと、華怜と青空は女子トイレに向かった。どうやら、化粧をしに行くらしい。
あー、これは長いかも、と思いながら湊は地下の店を軽く見て回った。
途中、文央高校の同級生に捕まるが、あれ?彼女と彼女はどうした?と言われ、どっちもいるよーと受け流していた。