第38話
華怜はロリータ系ピンクのワンピースを着て部屋に入ってきた。髪の毛もハーフアップにセットしていた。
「え?華怜かわいい!」
「ありがとう、お姉ちゃん」
「なんか、今日のは2割増しでかわいいな、華怜」
「いつも2割引きにしているわけじゃないよ、お兄ちゃん」
「まあ、そうだけど」
「あ、もうママたち出掛けちゃっているみたい、下にご飯用意してあるよ」
「じゃあ食べに行こうか」
3人は階下に降りて行った。
さすがお母さんと言うべきか、時間が経っても食べやすいようにおにぎりと漬物が置いてあった。
3人でおにぎりの具を当てながら食べ始める。湊が俺、梅干し苦手なんだよな、と言いつつ一個目のおにぎりから梅干しを引き当てていた。
食事しながら華怜が海汰にLINEすると、11時には迎えに来ると返事が返ってきた。
あと2時間かあ、と言いつつ少し複雑な表情をする。
食事が終わるとまた湊の部屋に3人で集まった。
午前中の2時間は華怜もいるからと、湊と青空は勉強することに決めていた。
タブレットで曲を流しながら3人は勉強を始めた。相変わらず、華怜はベッドに行って、教科書をペラペラめくるだけだ。
「華怜、しわになるんじゃないか?」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん」
「そんなものか?」
「うん、そんなものだよ」
ピアノ系のBGMが流れる。湊の部屋は子ども部屋にしては少し広く7畳くらいのスペースがある。窓際にベッドが置いてあり、ドアの方にテーブル、ドアと反対側に机と椅子がある。ベッドにはたまに華怜が持ってくるぬいぐるみが寝ていることもあるが、今日ぬいぐるみはなかった。
「もう海汰ちゃん来るって」
「そうなんだ、楽しんできなよ、華怜」
「うん、そうだよね、お兄ちゃん」
「たしか、友達に車借りたって言っていたよ、おにい」
「へー、そうなんだ、ドライブかあ、いいなあ」
ドアベルが鳴る。海汰が着たようだ。
「はーい」華怜が下に降りる。




