第36話
「華怜は明日12時に出るのか、海汰兄ちゃん迎えに来るのかな?」
「うん、多分そうだよ」そう言いながら湊のベッドにもぐりこむ。
「朝は何時に起きる?」
「うーん、9時でいいかなあ」
「了解、多分青空もそれくらいに来るかな」
「お兄ちゃん顔がにやけているぞ」ベッドの上で華怜と湊は同じ目の位置である。
「そうか?気のせいだって」
華怜が湊との距離を詰める。ぴったりとくっついてくる。
「なんだ?華怜」
「甘えたい年頃なんだよ、お兄ちゃん」
「海汰兄ちゃんに甘えればいいのに」
「海汰ちゃんか、」
「どうしたんだ?」
「私、海汰ちゃんとはただの幼馴染でいいかなって」
「え?どうした?」
「私、お兄ちゃんが好きなんだ、多分他の人とか好きになったりできないし、こうやって触れ合ったりするのも無理」
「でも、俺には青空がいるし、そもそも兄妹だし」
「うん、分かっているよ、お姉ちゃんのことも好きだし、でも、それが私の気持ちです、だから、明日海汰ちゃんとデートしたらはっきり言おうと思っていて」
華怜の気持ちになにも言えずに、ただ、長い髪の毛だけをなでつける。
「お兄ちゃん」湊の体をぎゅっと抱きしめる。
「ああ」
「私、本当はすごいやきもち焼きなんだ、お兄ちゃんがお姉ちゃんとキスしているのだって、すごい嫌なの、お兄ちゃんを独占したいの、全てを、そうなんだよ」
「そうか、華怜、そうなんだな」
「ねえ、私って魅力的じゃないかな?」
「いや、華怜は相当かわいいと思うぞ、うちのクラスでも華怜を好きな奴はたくさんいる」
「他の人が私をどう思っているかなんてどうでもいいの、お兄ちゃんが私のこと好きかなって」
「俺は、好きだよ、けど、な」
「ごめんね、お兄ちゃん、なんか、私、怖いんだ、こんなこと言ったら、今までの関係まで壊れちゃうんじゃないかって、ずっと言えなかった」
「大丈夫だ、俺はいつでも華怜のそばにいるから」
「うん、お兄ちゃん」




