第35話
湊が悶々としていると、二人がお風呂から上がってきた。いつにも増していい匂いが漂う。
「ただいま、お兄ちゃん」
「ああ、おかえり」
「湊、珍しく掃除してくれていたんだ、ありがとう」
「ああ、ちょっと気分転換にな」
「どうせ、お兄ちゃんのことだから、明日はこの家お姉ちゃんと二人っきりだって思ったんでしょ?」
「違うよ、華怜こそ、明日は海汰兄ちゃんと二人っきりじゃん」
「うん、まあ、ね」
「どうした?華怜」
「ううん、なんでもないよ」
「そっか、まあ海汰兄ちゃんは紳士だからなぁ」
「そうだよ、おにいは紳士だから、どこかの湊とは違って」
「え?でも、まあ海汰兄ちゃんと比べられるときついなあ。そろそろ12時だけど青空はどうする?」
「うーん、今日は帰るよ、おにいも今日は帰ってくると思うし」
「ああ、じゃあ送るよ」
「お兄ちゃん、待っているからね、送りオオカミにならないようにね!」
「分かった、行ってくる」
冨永家を出て右に曲がるとそこには柳瀬家があった。
「明日は二人っきりだね、湊」近所のことを考えて小さな声で囁く。
「ああ、なんかすごく久しぶりな気がする」
「うん、ねえ、キスしよ」
「ああ」そう言って形のいい青空のくちびるに自分のくちびるを重ねる。
「ん」青空のくびれている腰を力強く抱きしめる。
「青空」青空も湊の腰に手をまわしぎゅっと抱きしめる。
そのまま、15分、二人はキスをしながら、お互いの舌を絡ませ合う。
「明日、ね、湊」青空はくちびるをほどく。
「ああ、明日な、青空」
湊は青空が家に入って、青空の部屋の電気が着くまで見守って、冨永家へと戻った。
「お兄ちゃん、往復30秒のところ20分くらいかかっているよ?小学校の問題だったらばつだよ?」部屋に戻るとすぐに華怜が言ってきた。
「小学生には分からないことしているからしょうがない」




