第28話
既に11時半を回っていた。
湊が二人に眠いか聞いてみるが、全く眠くないとのことなので、タブレットをいじって3人で映画を観ることにする。
天才数学者の話だ。
精神の病気を抱えながらも、ノーベル賞を受賞するという話。
ストーリー展開が面白く、3人は集中して観ていられた。
「ノーベル賞かあ、俺はもちろんそんなものは無理だけど、華怜はもしかしたらいけるんじゃないか?」
「あ、うん、私も華怜ならできそうな気がするよ」
「え?私??」
「ああ」
「100パーセント無理だと思う。世界に貢献するような人になろうなんて思ったこともないし、そんな人にはなれません」
「そうかな?華怜、お前には普通の人にはない才能がある、いわゆる天才というやつだ、社会の為に使うことも悪くないんじゃないか?」
「んー、そんな大したものじゃないよ、記憶力がいいなんて、それこそコンピューターのほうが私より全然使いやすいんじゃないかな?従順だろうし」
「華怜は記憶力がいいだけじゃない、まあ、ノーベル賞取るために頑張ります!なんて妹がいたら、それはそれで嫌だけど」
「そうだよ、意識高くない系女子だから、それはそれでいいのだ」
「まあ、頑張りたい時はいつでも言ってな、応援だけはするから」
「ありがとう、お兄ちゃん」
「私にも言ってね、華怜」
「うん、ありがと、お姉ちゃん」
映画を見終わるともう2時近かった。3人で下に降りて歯磨きをしにいく。
「昨日は華怜が床だったから、今日は俺が床に寝るよ」
「ねえ、湊、たまには3人一緒にベッドで寝ようよ?ちょっときついかもしれないけどさ」
「あ、いいねえ、お姉ちゃん、そうしよう」
「あーじゃあ、順番はジャンケンで勝った人奥、2番目真ん中、ビリは手前な」
「うそ、手前だったら私、絶対落ちているよね?」
「ああ、華怜なら確実に床に落ちているな」
「ジャンケンに勝つ法則みたいなの発見したらノーベル賞取れるかな?」
「そういうの見つかったらジャンケンする人がいなくなるんじゃないか?」
「んーそうか、難しいなぁ」
「まあ、そんなこと言ってないで、ジャンケンするぞ!」




