第27話
湊がタブレットで適当にBGMを選曲して、流す。ワイヤレススピーカーにつなげているので、音はかなりいい。
華怜はベッドを占領してずっと動画を観ている。
湊と青空はテーブルに勉強道具を広げて勉強を始めた。
お母さんが部屋をのぞいて3人分のコーヒーを持ってきてくれる。
「ありがとう、華怜にやらせるのに」
「いいから、これくらい、青空ちゃんも自由に泊まってね、言ってあるから」そう言ってお母さんは下に降りて行った。
「お姉ちゃん泊まって行きなよ、海汰ちゃん今日は帰ってこないみたいだし」
「え、そうなの?そっかぁ、じゃあ泊まろうかな」
「俺、コーヒー飲んだらシャワー浴びてくるから、二人もその後お風呂入ったら?」
「お姉ちゃん一緒に入ろ!」
「華怜、一緒に入ろうか」
「うん!」
話しているうちに湊はコーヒーを飲みほした。
「じゃあ、行ってくるから、少し待っていて」
「はーい、お兄ちゃん」
湊は軽くシャワーを浴びてすぐに戻ってくる。
「いつも思うんだけどさ、お兄ちゃんのシャワー浴びた後の濡れた髪ってセクシーだよね」
「なにをバカなこと言っているんだ、さっさと二人で入ってこい」
「はーい、いこ、お姉ちゃん」
「うん、いこ」
青空と華怜はまた一時間コースかなと思い、湊は勉強の続きをして待っていた。
一人だけの部屋にBGMが流れる。
スマートフォンを手に取って、グループLINEなどを眺めてみるが、たいしたことは書かれていないようだ。
その流れでギャラリーを観る。青空の写真、華怜の写真、海汰の写真、自分の写真、4人で写っている写真など。500枚以上の写真があった。中にはどうやって取り込んだのか3歳の頃の写真もある。この頃、滝野川に引っ越してきたらしい。
写真を観ていると二人が戻ってきた。
「あ、お兄ちゃん、その写真懐かしい!」
「え、どれどれ?」
「ちょっと、勝手に見るなよ」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
二人が肩越しにスマホをのぞき込むが、二人の胸が湊の肩に当たっていた。




