第23話
映画の最後はとても悲しいものだった、華怜は涙を流しながら画面を見つめている。
「ねえ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
「ううん、どこにも行かないでね」
「行かないよ、さっきも青空に聞かれたけど、100年は大丈夫だ」
「うん」
時間を見るともう11時を過ぎていた。
「そろそろ寝るか?」
「ん、ねえ」いつものようにキスをねだる華怜。
「あ、ああ」軽くキスをしてあげる。
「もう一回」
「ああ」
「もう一回」
「あ、ああ」
「寝よっか、お兄ちゃん」
「ああ、そうだな、俺がそっちに寝るから華怜はベッドに来な」
「いいよ、お姉ちゃんが朝起きた時にお兄ちゃんがいたほうがいいでしょ」
「そっか、じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
7月10日の金曜日は曇り空だったが、雨は降っていなかった。
起きるのは青空が一番早かった。湊と華怜を起こしていく。
「なんだ、青空元気だな」
「うん、もう大丈夫!」
「お姉ちゃん、おはよう」
「おはよう、華怜」
「とりあえず、着替えなきゃか、あ、俺昨日風呂入ってなかった、シャワー浴びてくる」
「私も制服に着替えてくるね」そう言って青空は元気よく階段を下りていく。
「お兄ちゃん、おはようのやつは?」
「ああ」華怜の肩を抱いて軽くキスをする。
「ありがと、お兄ちゃん」
「ああ、俺はシャワー入ってくるから、華怜も準備しておけよ」
「はーい」
湊がシャワーを浴びて出てくると、既に青空も華怜も制服に着替えて食卓に着いていた。




